昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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絵が下手な事

長年営業が家業だったので、「本当の事は言わないかもしれないが、嘘はつかない」をモットーに舌先三寸で生きてきた。
楽しい人生だったが、一つ満たされなかったのが、言葉以外に自分の思いを伝える能力に欠けていた事だ。
自分の喜怒哀楽を、音楽で表現できたら何と素晴らしいだろう。
絵でも構わないし、小説でも詩でも良い。
しかし悲しいかな、そんな能力は何一つ身についていなかった。
そして人生黄昏が近づいている今日でも、相も変わらず適当なおべんちゃらを言いながら禄を食んでいる。
味気ない事、この上ない。

当方そんな中でも、絵画への関心はとりわけ薄い。
有名な絵は、わざわざ美術館に並んで見るほど大好きだが、自分で絵を描きたいとの欲望が浮かんでこない。
別段自分が絵を描くのが下手だからといって、何一つ不自由を感じた事はなかったし、生活に支障をきたしたわけでもない。
だから、まるで芸術作品を見るだけの人で満足してきた。

テレビのバカ番組で、絵心がない芸人の作品を紹介していた。
それを見ていて、「なるほど」と思い当たった事がある。
彼らの作品は、実は当方が描く絵と非常によく似ていた。
失笑や、場合によっては爆笑、哄笑を誘うようなこれらの作品は、全て、対象を平面的にしか描いていない。
また、対象物の特徴を、全くコピーできていない。
これは単に絵を描く技術が下手なのではなく、実は絵の対象を覚えていない、もしくは対象物の特徴に気がついていないのではないかと思い至った。
日ごろ、絵を描く事に関心がないから、一々被写体を覚えようとしないかもしれない。
例えばキリンは「単に首が長い動物」のイメージがあるだけで、その斑点や鼻や顔については、問われても全く記憶にない。
足の形や尻尾なども、改めて思い出そうとしてもイメージが湧いてこない。
そこで「キリンを描け」と言われると、うろ覚えのキリン像を平面的に描くだけになる。
結果としては実物とは似ても似つかない作品に仕上がってしまい、周囲から呆れ果てられるし、更に自信喪失の悪循環に陥る。

しかしこんな程度の絵でよければ、ちょっと専門的な勉強をすれば、チャチャッとテクニックが身に付くような気がする。
例えば影をつけるとか、あるいは目と口の描き方とか遠近法を覚えれば、それまでの平面的な絵が一挙に立体的に見えるのではないだろうか。
どうも当方、自分にはそんな才能はないと思い込んでいたが、実は「やらず嫌い」でしかなかった!(かもしれない)。
本来は、ピカソフェルメールに匹敵する才能を秘めていた可能性も、ないわけではない。
些か気が付くのが遅かった。
もはや、ゴッホの才能に追いつくには時間が少なすぎるが、定年後に暇になったら絵画教室にでも通ってみよう。
そうすると、精神的には豊かな人生が送れるし、更には絵画が売れて巨万の富を得るかもしれない。
バカ番組からの「悟り」で、妄想は膨らむばかりだ。