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芸能人のプライバシー

最近、芸能人と暴力団関連の裁判が話題になっている。
俳優、杉浦太陽、30歳。
と言っても誰も知らない。
アイドルグループ、「モーニング娘。」辻チャン(辻希美)の旦那と言えば、少し知名度が上がるかもしれない。

その杉浦太陽の父親が、暴力団から借金したのが事件の発端。
続いて、残念ながら返済能力がなくなった父親が出奔。
鬼の借金取りと化した暴力団が杉浦所属の芸能事務所に押しかけて、父親の居所を聞き出そうとしてガラスを割ったのが器物損壊罪に当たると訴えられたもの。
その他にも、電話や街宣車での嫌がらせもあったらしい。

裁判の中で、検察(杉浦側)は
杉浦太陽は、両親の離婚後母親に育てら父親の借金問題で無関係なのに、暴力団の標的にされた。
と主張している由。

一方の被告(暴力団側)の主張が面白い。
・杉浦の父親は、事務所で必ず連絡が取れると言った
・杉浦と父親の関係の報道を誘引しない要求があるが、カネの貸し方に要求ばかりでムシが良過ぎる。
・杉浦には「父親に会わせろ」と要求しただけ、カネの要求はしていない。
要は、杉浦の父親は芸能界とのつながりを強調して借金し、姿をくらましたので、杉浦にも責任の一端がある。
と反論している。
暴力団も流石にプロだけあって、杉浦に直接の追込みをかけるのは筋違いと分かっている。
しかし杉浦は人気が命のタレントなので、何がしかの妥協案が出ると踏んだのだろう。

現にこの裁判でも、検察側は「杉浦太陽」の名前は一切伏せている。
(尤も暴力団の被告側が、杉浦の実名を晒しているので何の意味もないが)
杉浦側が「杉浦が父親の借金問題に全く無関係なのに、無理やり事件に巻き込むのは犯罪」と主張しているのに、暴力団側は「父親は、杉浦の立場を利用して借金した。親子だから全く無関係ではない」と言いたいようだ。
法律に詳しい訳ではないが、結果として、今回暴力団が訴えられたのはガラスを割った器物損壊罪だけ。
微罪なので、例え負けても暴力団側のダメージは小さいが、杉浦側のイメージダウンは大きい。

そもそも金貸しは、ベニスの商人シャイロック以来、評判が悪い。
シェークスピアも、ヨーロッパで金融資本を牛耳るユダヤ人が嫌いだったらしく、「貸した金を返せ」と正当に訴えたシャイロックに、無理難題を突き付け、結果的に借金棒引き判決を下す。
拍手大喝采の判決だが、論理的にはシャイロックの訴えが正しく、シェークスピアは間違っている。
今回は、杉浦太陽はカネを借りた本人ではないが、彼の名声を利用した父親が当事者なので、全く無関係とは言えないだろう。
もちろん一番悪いのは、借りた金を返さず逐電した親父だが、少なくとも道義的には杉浦太陽にも些かなりとも問題があり、金貸し側に協力する素振りくらいは見せた方が良かったのでは。
確かに暴力団側には、杉浦親子関係の実態について調査不足の面も否めないが、それでもまるで知らんぷりをされると、立場上、凄んでみたくもなるだろう。

多くの芸能人には、基本的にご都合主義だ。
都合のいい時は、プライバシーそのものの親子や夫婦の姿を晒しまくっていながら、一旦都合が悪くなると「プライバシー」を隠れ蓑に情報を隠す。
その昔愛人を取材された北野武は、子分を引き連れて講談社に殴り込みをかけたが、その時も「プライバシーを勝手に暴いたマスコミにも問題」と、北野武を支持する人がいた。
しかし芸能人とマスコミなんて、お互い持ちつ持たれつの関係。
ならば、自分に都合の悪い情報が公にされる事も、有名税として覚悟しておく事だ。
芸能人には、プライバシーはない。