昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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盆地の町、人吉のゴルフ決死行

およそ一年ぶりに、人吉の顧客を訪問した。
そして例によって、「華の荘」というホテルで旧交を温めあった。
たまたま人吉市長が、20人ほどの地震津波被災者の子供たちをこのホテルに一泊招待し、パーティーを開く日だったので、我々も派手な歓迎横断幕や、戦国武士に変装した社員達に出迎えられた。
http://blogs.yahoo.co.jp/saraam_s/61971143.html
この日初めて、このホテルのオーナーに会った。
美術品の大変な収集家のようで、超有名な作品が所狭しと陳列されている。
「凄いですね?」と賞賛すると破顔一笑したが、返ってきた答えは「イヤァ、ガラクタばっかりですよ。」
しかし、「あれはロダン、これはガレ、有田焼の井上萬二、唐津焼の中里隆、萩焼三輪休雪」「あの棟方志巧は版画ではなく絵画なので、更に価値がある」とか、他にもズラズラ人間国宝の作品を紹介してくれる。
「ガラクタとはご冗談を」とお世辞を言うと、「あの絵はご存知ですか?大したものじゃないけど、5千万円だったかな、6千万円だったかな」と、実は自慢したくて仕方がないようだ。
「奥には個人の展示場があって、そこには藤田嗣治が10点ほどはあるかな」だって。
つい先だってまでは朝青龍の後援会長、今は例のボクシングの亀田親子を支援しているらしい。
愛車は1億円近くはするような、超レアはスポーツカーだが、「もう飽きました」とは何とも豪気。
それにしても、どれほどの資産家なのだろう。
尤も体系だった美術品収集家と言うよりも、有名作家の作品なら何でもOKのダボハゼコレクターの感もある。
顧客との会食では、「これ以上、飲んだり食べたりするのは無理」なほど満腹になったが、費用は一人当たり6千円ほどと安い。
温泉は素晴らしいし、遠方からわざわざ出かけて一泊するだけの価値有りホテルだ。

翌日は、熊本クラウンゴルフ倶楽部でゴルフプレイ。
オープン後25年のこのコースは、豪華すぎるクラブハウスを見ただけで、バブル時代の設計と分かってしまう。
しかし、コースは上手くレイアウトされていて、なかなかチャレンジのし甲斐がある。
ただし、地下は岩盤らしいので水はけが悪い。

天気は日本全国が猛暑にあえいでいる中、盆地の人吉は九州でも二番目に高い気温36℃が予想されていた。
ポカリスウェットの大瓶900mℓを手当てしてスタートしたが、最初のハーフで空っぽになる。
いつもは「ゴルフは歩くもの」と粋がっているが、この日は無条件でカート使用。
それでも顔中が汗だらけになるだけでなく、遠慮なく目に入り込むので視野が悪化する。
一番組のスタートなのでスイスイ進み、二時間もかからず10時にはハーフ終了。
再度ポカリスウェット大瓶を買い込み、午後のスタートへ。
同伴競技者のミスショットが山の方向へ向かうと、ボール探しが大変。
僕は、「カートを運転するから」との理由付けで、山登りと親切心を放棄、ひたすら体力保存に努める。
ところが、インの二、三ホール過ぎた頃から、腹の調子がおかしくなった。
どうも水分を取りすぎたようだ。
こうなると、力を入れたショットのたびに、息を吸い込みながら肛門の括約筋を絞り込まないといけない。
更に悪いことに、総勢24組、シニア会の大コンペに追いついてしまい、急激にペースダウン。
こっちのピンチも知らず、前の老人組は悠々とプレイし、優雅に歩く。
「急げ!」と怒鳴りたいが、大声を上げるとこちらが危ない。
キャディに聞くと、「14番ホールが終わると茶店があります」らしい。
一ホールごとに、暑さの汗に加え、下腹部から力を抜くたびに冷や汗が噴出し、精神的にも肉体的もギリギリの状態が繰り返される。
14番グリーンでは、残り1m以上のパットを無造作に、と言うよりも決死の形相で「お先に」と放り込み、同伴者の結果を確認する間もなく、トイレに駆け込んだ。
辛くも無事に用を足して心底ホッとしたが、次なる試練で今度はトイレのドアが開かない。
悪い事に平日で客が少ないと見たのか、茶店に従業員がいないし、部屋には冷房も入っていない。
中からドンドンとドアを叩くが、同伴の連中もキャディも茶店には立ち寄っていない。
体当たりをしても、頑丈なドアはびくともしない。
ここでまたも部屋の熱気の汗と冷や汗がブレンドされ、このまま脱水症状で死んでしまうのではと、別の恐怖が襲ってきた。
自分の死に際は、愛しい家族に手をとられながら「お父さん、頑張って」と励まされるのを、「今までありがとう。もう思い残すことはないんだ」と感謝しながら、静かに目を閉じて事切れる。
そんなイメージでいたのに、トイレの中で、しかもウォシュレットでもない古い和式の便器の横で、脱水症状で干からびて死ぬのじゃ、余りにもカッコ悪い。
何度も何度も必死になってノブを回し続けた結果、カチリとドアが開いた時、うれしさの余りその場に座り込んでしまった。

盆地の人吉は、猛暑で無風。
しかもこのゴルフ場は直射日光をさえぎる木が少なく、暑さを避ける手段に乏しい
途中、トイレで死ぬ恐怖にも見舞われながら、何とか18ホールを無事完走。
沖縄、仙台と続いたゴルフ特訓も、今回の人吉で中締め
しかし又来週から、今度はホームコースでの真夏のゴルフ連チャンが待ち受けている。
果たして、この夏を無事に乗り切り、秋を迎える事ができるのだろうか?
と、一見我が身を労る振りをしているが、「では中止」とは全く思わない。

ゴルフだけは、どんな状況下でもタ・ノ・シ・ミ!楽しみ!