昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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80歳の石原慎太郎を考える

齢80は、老人だろうか?
石原慎太郎が、突如として東京都知事を辞任、新党を結成して国政に復帰することになった。
早速大騒ぎになるところを見ると、石原慎太郎のニュースバリューは、まだまだ賞味期限内なのだろう。
80歳について言えば、僕の父親はその年齢に至ることができず、79歳で逝去したので、常日頃から「父を超えたい」と思っている僕にとっては、一つの目標でもある。

石原慎太郎については、常にその戦闘的な右翼姿勢が問題視されるが、もう一つ、80歳の高齢も懸念材料として取り沙汰される。
しかし石原慎太郎は、健康維持にかなりの金を使っているのだろう。
やや歩く姿勢が前かがみになってきているが、顔にシミはないし、恰幅もいいし、一般的な80歳に比べれば、若々しく見える。
頭の回転や口ぶりに、老いが忍び寄っているようには見えない。
年齢と老化については、やはり人それぞれなので、80歳だからと言って老害のレッテルを貼るのは避けるべきだ。

しかし僕は敢えて、石原慎太郎は頑迷固陋な老人になっていると断言する。
一見矍鑠としているし、舌鋒鋭く政敵を非難する論旨は乱れていない。
ただ、他人からの批判に対しての堪え性が、極端なほどに欠落してきた。
これは、多くの老人が無自覚のうちに陥る、老化の典型的症状なのだ。
石原慎太党は、自分が気にいらない質問や意見を辛抱強く聞くことができない。
ついつい声を荒げるし、途中で他人の質問を打ち切ってしまったりしている。
「自分の意見だけが正しい」と思い込み、他の意見を排斥してしまうのは、その時点で頭脳が客観的判断をできなくなっている証拠で、頑固爺ィとしての生き様なら愛嬌もあるが、政治家としては危険な兆候が表れている。
石原慎太郎が新党結成に至った背景に、息子が自民党総裁選で敗北したことが挙げられている。
真偽のほどは不明だが、都知事時代に見せていた親馬鹿振りから、決してあり得ない話ではない。

にも拘わらず、僕は石原慎太郎の政治姿勢については、決して悪い感情を持ってはいない。
尖閣列島の国有化も、元々は石原慎太郎が東京都で買い上げると宣言したところから端を発している。
結果としては、慌てて国有化に踏み切った民主党の外交音痴ぶりが満天下に晒され、日中間で過去にないほどの軋轢が生じたが、野田毅彦はそれでも、石原が買うよりも国有化の方が中国を刺激しないと信じていた。
ことほど左様に、石原慎太郎の評判は、中国や韓国でも最悪だ。
中国の国際的地位が上昇するにつれ、その傍若無人ぶりも顕著となっている。
とりわけ領土問題で中国に相対するためには、経済的魅力を優先するべきではなく、周辺諸国と連携しながら一歩も引かない外交の駆け引きが必要になる。
中国にとっては、鳩山や小沢のように媚を売ってくる政治家なら利用価値が高いが、石原慎太郎は邪魔で邪魔で、顔も見たくないようだ。
そんな中国が蛇蝎のごとく忌み嫌う石原慎太郎は、「敵の敵は味方」論法からは、重要な外交カードになりうる。

しかし所詮はそこまでの一点豪華主義政治家で、国政全般を担えるとは到底思えない。
そもそも石原慎太郎も第三極の政治家を自称する連中も、官僚打破を金科玉条のように唱えているが、今の政治家たちが官僚のサポート無しで国政を動かすなんて、単なる夢物語でしかない。
官僚の悪口を言う政治家ほど人気があるが、民主党の例を見るまでもなく、政治主導なんてもっと現実味がない。
石原慎太郎は、新党を立ち上げて、一体どんな具体的な政治をやろうとしているのか。
80歳だからダメとは言わないが、80歳になった石原慎太郎は妄想と耄碌が始まっている。
僕は、そう思っている。