昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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「おうどん、おそば?」

サラリーマンの平均的昼飯代は、おおよそ500円程度らしい。
不景気だし、給料は上がらないし、昼飯に贅沢は出来ない。
この金額には、そんな経済環境がにじみ出ている。
バブルのころは、昼飯を何にするのか楽しみだった。
もはや記憶の片隅にしか残っていないが、当時は千円程度を使っていたような気がする。
そんな栄耀栄華は、今いずこ。
いじましい時代になった。

当方、タイ料理が大好きになったのは、会社近くに安いタイカレー店があったからだ。
バブルがはじけた90年代に、東京のど真ん中でわずか300円。
味はともかく、その値段に惹かれて毎日通っているうちに、すっかりエスニック料理の虜になった。
この店でのちょっとした贅沢はチキン入りカレーで、これは100円アップ。
トムヤムクンスープ200円、デザートにココナッツケーキをとっても合計で700円。
この店に集う貧乏サラリーマンの中で、これをフルバージョンで注文すると、高価昼食を食べているような優越感に浸ることが出来た。
ところがこの店、ドンドン人気が出てきて、そのうちにたかが昼飯なのに30分程度並ばなければならなくなってきた。
待ち時間に比例して料金も上がり始め、とうとうカレーは倍以上の700円。
例のフルバージョンなら、軽く千円を超えてしまう。

そこで安い昼食を求めて、今度はラーメン大好き人間になった。
これなら600円も出せば、小ライス付き定食を食べることが出来る。
しかしやっと安くてうまい店を探しても、世の中には同類のサラリーマンは数多いて、その連中が仕事以上の情熱で探し回っているので、なかなか隠し遂せるものではない。
そんな店には、すぐに貧乏サラリーマンが大量に押しかけてくる。
結局は、待ち時間が長くなり、そのうちに値段も上がりで、その店から足が遠のくことになってしまう。
景気後退と共に、昼飯探しの流浪の旅が続いている。

最近のお気に入りは、会社の近くにある立ち食いうどん。
ここの400円かき揚げうどんは、ソコソコにうまい。
自民党員の夫婦で経営している店だが、すぐ傍の立ち食いうどんチェーン店よりも50円ほど高いので、店が込んでいないのも良い。
また古いてんぷら油も使っていないようで、かき揚げを食べて腹を毀したこともない。(チェーン店のかき揚げは、確率50%で下痢をしてしまう)

唯一の欠点は、いい年をした自民党のオヤジが、最初に必ず「おうどん?おそば?」と聞くことだ。
彼にすれば、注文を聞いてそばかうどんの麺を茹でるので当たり前の質問だろうが、「お」をつける必要はないし、第一自民党支持者に似合わない。
もっとおかしいのは、聞かれた客が「おそば」とか「おうどん」とか、これまた丁寧に「お」をつけて答えることだ。
安い立ち食いそば屋の店主と、昼食のコスト削減を図っているようなサラリーマン人種の間で、連日に亘って全く不釣合いで不必要な敬語のやり取りが繰り返されている。

もはや常連となった当方に対しても、自民党支持者のオヤジは同じように質問する。
僕は決まって「うどん!」と言い切る。
我ながら、実にすがすがしい。