昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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たかがジーパン、されどジーパン

その昔は労働者の作業着扱いだったジーパンが、今や流行ファッションの一端を担っている。
一時期は、反体制の象徴みたいに、デモ学生は全員ジーンズ姿だった。
今では体制だの反体制だの、そんなうるさい事が誰も言わず、若者は当たり前に着用しているし、僕のような年よりも普段着に愛用している。

しかしゴルフ場では、依然として市民権を得ていない。
ジーパンに対する偏見がない世代の連中は、ゴルフ場の一見旧態依然としたドレスコードが理解できない。
「ゲーノージンだって、オフィシャルな場にジーパン着用で出席しているじゃないか」と文句を垂れているが、残念ながらメンバーシップ制のゴルフ場では、何よりもローカルルールが優先される。
ジーパン、Tシャツ、サンダルは駄目と決められると、従わざるを得ない。
名門コースでは、時としてコースから服装を注意されて不貞腐れている、常識なしのバカ者がいたりする。

そんなカジュアルなジーパンなのに、有名ブランドがあるようだ。
所詮は作業着でしかないはずなのに、その昔ジェームズ・ディーンが履いていたものと同じメーカー製とか、天然インディゴ染料使用とかだと、驚くほど価格が跳ね上がる。
また古さを出す為に、わざわざ破れは綻びを作ったりする。
世の中には、ジーンズ収集家までいるらしい。
最早体制的保守派になり下がった僕には、たかがジーパンなのに何故そこまで拘るのかどうにも理解できない。
いつもユニクロやスーパーの安売りジーンズで、十分満足していた。

ところが今回、UNITED ARROWS製のジーンズを入手した。
と言っても、まるでその価値は分からないのだが、くれた人によると非常に貴重な製品らしい。
「フロント前立てはボタンフライ、ヴィンテージテイストで、ユーズド加工も施された雰囲気抜群のデニムパンツ」と、訳の分からない能書きを垂れていた。
何であれ、他人が褒めてくれるものは嬉しい。
早速着用したが、途端に困ってしまった。
「フロント前立てがボタン」がカッコ良さの象徴らしいのだが、トイレに行くたびに面倒くさくて仕方がない。
緊急事態の時は、間に合わないのではと焦ってしまう。
誰にも見えない、こんなところで気取るよりも、YKK製ジッパーの方がはるかに機能的だ。

しかしオシャレの識者は、「見えないところに気を配るのが本物」と、オシャレの薀蓄まで披露してくる。
こっちは、粗相をする心配をするくらいなら、安物のジーンズの方がいい。
第一、高いジーンズをはいていても、誰も気づいてくれない。