昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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本妻と二号さん

僕は、バブルでもなければ、一生ゴルフコースのメンバーになる事はなかっただろう。
あの時は「何でもできる」と思い込んでいたので、会員権の為に借金する事を厭わなかった。

最初のコースでは案の定大損したが、その後、わらしべ長者のようにグレードアップに成功。
と思っていたら、次のコースの経営がおかしくなり慌てて売りとばしたが、その時の売価はわずか5万円。
業者への手数料で手取りゼロになったが、奇跡的に手つかずで残った入会金と、税金の還付金で、今の本妻のコースに辿り着いた。
最初にゴルフメンバーになって、17年が経過していた。
我が家からわずかに20km、メンバータイムが厳守されているので、いつでも必ずプレイできる。
ほぼ毎週通い続けるうちに、仲の良いメンバーもたくさんできた。
三度目で巡り合ったこここそ、今後のゴルフ人生と共にする理想のコース。
「愛妻物語」を地で行く、麗しさだった。

そう思って満足感に浸りきっていたのに、5年が過ぎた頃に浮気の虫がうずき始めた。
そこは河川敷で、一応はメンバー制だが、実際はセミパブリック運営。
しかし年会費はゼロだし、何よりも我が家からわずかに5kmしか離れていない。
朝なら5分で到着するし、メンバーがいなければたった一人でもプレイできる。
河川敷コースだが冠水する事はないし、距離もばっちりある。
横幅も広く、隣のホールとは樹木で完全セパレートされている。
バンカーも整備されているので、本格コースに比べても遜色ない。
キャディもいないセルフプレイなので、価格も本妻コースに比べると、半分くらいで済む。
何よりも、気楽にゴルフが楽しめるのがいい。
すっかりこちらの、常連さんになってしまった。

この結果、唯一最大の悩みは、本妻へ通う回数が激減している事。
二か月に一度ほどのペースになると、偶に会う友人が健康を気遣ってくれたりする。
「イヤァね、最近は二号さんに入れ込んでいまして」などと軽口をたたくと、本気で「年寄になっての色恋沙汰は金がかかるヨ」と忠告する人まで出てきた。

まさにちゃんとした本妻と、器量は落ちるが気立てが良い二号さん。
あちら立てれば、こちら立たず。
「両手に花」のモテ男振りで、贅沢な悩みを味わっている。
こんな悩みは、仕事でも女性関係でも経験した事がなかったナァ………
せめてゴルフでだが、本妻と二号さんに巡り合えたなんて、我が人生も捨てたものではない。