昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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台風一過

10年ぶりの大型台風26号が、首都圏関東を直撃してきた。
ほんの数日前に、この台風発生のニュースを聞いた気がするが、アッと言う間に襲来し、アッと言う間に通り過ぎて行った。

こんな大型台風など予想もしていなかった僕は、連休明けの火曜日午後から一泊で、札幌に出張を予定していた。
しかし天気予報では、台風が関東を直撃するのが翌水曜日午前中なので、将に僕の帰りの予約便の時間帯にドンピシャリのタイミングだ。
一緒に行く同僚は、前日の天気予報に恐れをなして、日帰り便に変更し、宿舎はキャンセル済み。
そんな事には疎い僕は、札幌到着後に事態の大変さに気づくほどの能天気振りだったが、流石にいくら暢気でも、翌日の便が飛びそうにない事は想像できる。

慌ててホテルをキャンセルしようとしたが、たかがビジネスホテルなのに違約金100%と言われ愕然。
予約便を日帰りに変更しようとしたが、この時点で全ての便が満杯。
悠然と帰路に就く友人を悄然と見送り、已むに已まれずホテルにチェックインした。
尤も、ホテルに泊まっても、翌日の展開が見えている訳ではない。
テレビのニュースでは、大袈裟に台風のリスクを報道している。
このまま札幌に足止めになっても、翌日何もする事がない。

とにかくキャンセル待ちをと、予約センターに電話したが、「最早電話での受付は無理なので、空港現地で」と言う。
しかしこの場合、ダメならまた札幌まで戻らないといけないし、往復二時間も費やしてしまう。
仕方なく、ホテルの部屋でスマホにかじりついて、必死にキャンセル待ち便を探し続けた。
何度かキャンセル便が出るが、手続きをしているうちに誰かに取られてしまう。
そんな事を繰り返していたが、苔の一念か、何とかその日のうちに帰る事が出来る便をゲットできたので、すぐにホテルをチェックアウト。
結局はこのホテルでは、風呂もトイレもベッドも、その他の備品も全く手つかずで、単にテレビでニュースを見ただけ。
それにしては、正規の料金を払わなければならないのが馬鹿馬鹿しいが、それでも翌日何もする事もなく、ホテルにジッといるよりもマシだ。

満席で出発した飛行機は、羽田空港が近づくにつれ台風の所為で大揺れ。
子供は泣きだすし、気分が悪くなる人も出てくるが、スッチーも着席指示が出ているので、如何ともし難い。
「ドーン」と大音を出して着陸した時は、心底ホッとした。
到着時の関東地区は、既に台風の影響が顕著に出始め、大雨が降っていた。
そんな中で深夜半過ぎ、何とか我が家に帰り着くことが出来た。

翌朝は、篠つくような大雨と強風の音で目覚めた。
案の定、札幌からの飛行機も午前中は全便欠航だが、首都圏もほとんどの交通手段が運転を見合わせている。
会社に行くにも行けず、家でゴロゴロしているうちに、あれほど降っていた雨が止んできた。
これこそ台風一過。
空中の埃を吹き飛ばしたのか、一転して清々しい気持ちになる。
その昔、台風一過を、台風一家と勘違いしていた人がいる。
台風が過ぎ去った後の一面に広がる青空を、家族団欒の暖かさと思ったらしいのだが、かなり飛躍した発想力の人物にしか思い浮かばない連想だ。

いずれにしても、近代技術の粋を集めた航空機も、たかが雨風が強いだけで就航不可能になる。自然の脅威の前には、人間の知恵なんて微力なものだ。