昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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後輩へのメール

もう三年前になるけど、食事を一緒した後輩へのお礼メール。
読み直すと、昔は真面目に後輩の相談に乗り、至って真面な事を言っているものだと思います。

2010年5月
こちらこそ、忙しい中お付き合い頂き感謝しています。
当方、既に任意引退選手なので、事業の内容についてCommentすべき立場ではありません。
ただ、たかが事業ですが、それへの立ち向い方は、各個人の人生観そのものです。
人生についてのCommentには、終わりがありません。
自分の来し方を振り返った時に、単に「仕事人間だった」ではなく、生き様に誇りが持てる人間になって欲しいとの思いがあります。

事業では、「持ち場でやり遂げた」後、結果として後輩に何が残せたのかが問われます。
それには、「この事業はかくあるべき」とのImaginationが大事で、この点を徹底的にDiscussionする事で、事業の将来像が見えてくるような気がしています。

尤も、それが事業に生きるのか否かは、その時のLeader次第です。
あらゆる組織は、そのLeaderの資質を超える事が出来ません。
Leaderを選べない以上、今の君達に出来る事は、同志と共に、感性を鋭く磨き上げ、Imaginationの量を増やしておく事でしょう。
いずれはそれが、後輩への財産になるはずです。

厳しい事業環境(内外共に)ですが、Do your best!です。


2010年7月2日
昨晩は、大変楽しい時間を有難うございました。
思い出しましたが、前回の雨の会食も○○君にゴチになっていました。
君の会社は大会社なので、この程度で傾く事はないと思いますが、気がつかず、大変失礼してしまいました。
次回は、弊社負担の大宴会を開催しましょう。
(但し、その時まで弊職のサラリーマン寿命があればの話しですが。)

昨晩も痛感したのですが、世の中理屈どおりには行かない物です。
全てが理論で解明できれば、株や先物取引で損をする事はありません。
生身の人間が、欲に目が眩みながら蠢く為、予測不能の事が発生します。
君の会社も、些か(と言うか、かなり)頭デッカチ判断が多いようです。

事業運営でも、競合者が予測範囲内で動いている限りは大して怖くないのですが、その想像を超えた更に大きな一手を放った場合、対応の遅れは致命傷になります。
得てして、自分の頭脳に自信がある輩ほど敵を見くびり、自分の能力を超えた敵の発想を、否定したがるものです。
A社海外計画も、B社の拡大路線も、C社のダボハゼ路線も、アラを探せばたくさんあるでしょうが、下手をすると大きな差がつく恐れがあります。

決して過度に恐れる必要はありませんが、さりとて見くびると危険です。
敵を知り己を知らば、百戦危うからず。

孫子の兵法は今でも正しく、敵の動きを自分の都合がいいように解釈していても、その結果は、惨めな末路しかありません。
理屈で片付けられるのは、事業のほんの一部だけ。
後の大半は、現場感覚の鋭さが、競合との勝負の分かれ目です。

君たちの獅子奮迅の努力だけが、会社を救済できる術です。


2010年7月5日追伸
聡明な君たちなので誤解はないと思いますが、当方は、理屈を一概に否定しているのではありません。
むしろ我が家では「屁理屈爺ィ」と嫌われるほど、理屈大好き人間です。
しかし、
Think practically, Act logically.
であるべきだと思います。
(世間では、まるで逆を唱える人が圧倒的に多いのですが。)

何より、自分がしたい事が論理的に説明できないようでは、他人からの支持は得られません。
ただ、どこかの会社のように、現場と無関係に無闇にLogicalに考えた結果、出口の見えない袋小路に陥ってしまうのは愚策だと思います。

君たちの会社が鳴り物入りで騒ぎ立てた新ビジネスシステムなどこの典型で、考えた通りに市場が動くのなら、誰もが、Businessで大成功する事、間違いありません。
しかし多くの落伍者が生まれ、わずかな成功者しか生まれないのは、経営者が、理屈ではなく、感性で勝負しなければならないからです。
世に伝わる経営者の成功話の大半は、後になって、茶坊主達が結果論をでっち上げているだけです。
このインチキ内容が、世間ではKnow-how-bookと呼ばれ、一部で頭デッカチ連中の、ありがたい指南書になります。

そんなのに付き合っていれば、会社の特長など出るわけがありません。
現場で磨きぬかれた勝負手が世間で注目されない限り、Know-how-bookに載っていない勝負手を見つけ出さない限り、君たちの会社も、どこかの会社の縮小版で終わってしまいます。
そんな会社が、世間から賞賛の声を浴びる事はありえません。

草深き田舎に住む当方は、そんな事態を恐れています。