昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ドイツ人よ、お前もか?

海外に行くと、日頃はまるで当たり前と思って、有り難味を感じていない日本の素晴らしさを再認識することが多い。
街中の安全もそうだが、「日本人って世界の誰よりも几帳面なんだな」と、改めて思い至る。
日本人は、文字通り老若男女、上から下まで、全員が妙に几帳面。
これこそ、日本人のDNAではないかと思う。

例えば時間についての考え方。
日本人は、「約束した時間は守らなければならない」と無条件に思っているし、誰もこの事を疑問に感じない。
しかしこれは、世界の常識ではない。
「時間なんてどうでもいい」と考えているような連中が、世界中にはウヨウヨいるのだ。
そんな事を、今回の旅で痛感した。

我々日本人はドイツ人に対して、何となく似た者通しのような印象を持っている。
ところがこれが、とんでもない誤解だった事が判明した。
昨日は、フランクフルト空港内のホテルに宿泊し、疲労回復に努め、今日はドイツとスイスの新幹線を利用して、スイスの首都チューリッヒに向かった。
チケットは昨日のうちに手配済み。
DB(ドイッチェ・バーン)の地上係員は、「この列車は、9時53分5番ホームを発車、ご夫婦の指定席はこの番号」と、笑みをたたえながら説明してくれた。
無愛想なのが多い海外の労働者にしては、えらく親切だったので、DBに対して好印象を持つのは、根が単純な証拠。

荷物が大きいので、少し早めにホテルをチェックアウトし、件の5番ホームに到着したのは発車30分前。
駅員に指定車両の停車位置を確認し、「これで一安心」と、夫婦して悠然とホームのベンチに腰を下ろし、列車到着を待っていた。
すると発車予定の5分前に、突然隣のホームを黒人青年がこちらのホームを見渡しながら、大声を張り上げて歩き始めた。
どうも、我々の目的駅名BASELを連呼している。
注意しながら聞くと、「BASEL行きの列車は、到着ホームがこっちに変わった」みたいな事を喚いている。

出発時間が迫っているので、スワ一大事。
慌てて、隣のホームを目指すが、上りの長いエスカレータは休止中。
必死の思いで、ホーム中央のエレベータまでたどり着き、何とか発車時間の間に合わせる事ができた。
事の重大さに気がついたほかの乗客も続々と移動開始するが、エレベータの定員はせいぜい5名程度。
やむなく、重い荷物を引きずりながら、階段を上がっている。
早めに黒人青年のアドバイスに気がついてよかった。
ホーム変更を教えてくれた黒人は、DBマーク入りのシャツを着ているので、社員に違いない。
列車到着も10分ほど遅れたので、全員乗り遅れることなくで済んだが、彼の親切がなければもっと焦りまくっただろう。
妻は大感激で、「それにしてもよく通る大声だった」と感心していたので、僕は、「あのオニイチャンは、あの大声で仕事にありついているのかもしれない」と、皮肉を飛ばしていた。

ところが、車中で確認したチケットの注意書きを見て驚いた。
そこには、
Information on local details(e.g. Platform indications) may change at short notice.
Please note the information on board train and the loudspeaker announcement on the platform.
と認めてあった。
ドイツが世界に誇る高速鉄道ICEでは、列車の遅れや直前のプラットホーム変更は当たり前。
それを放送ではなく、まさしくあの黒人青年のようなワーカーが、プラットホームで大声を上げて触れ回るのも当たり前だった。

ドイツ人が几帳面だなんて、何を持って信じていたのだろう。
彼らも、単なるフツーのテキトーな外国人に過ぎなかった。