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沖縄問題と民主主義

僕はこの世の中で、絶対に正しいモノなんかないと思っている。
自分はこれが正しいと思っていても、隣の人は全く違う事を考えている。

安倍首相、菅官房長官と、翁長沖縄県知事の対談を見てもそうだ。
双方の言い分を聞くと、それなりに首尾一貫している。
安倍首相と菅官房長官は、「世界一危険な普天間基地を移設させる為に、辺野古への移転」と言う。
翁長県知事は、「何故、沖縄県内へ移転するのか」と主張する。

マスコミも世間も、「沖縄に負担を押し付けている」と、翁長県知事に同情的だ。
しかし現実には、外へ向かって膨張する中国への牽制を考えれば、沖縄の基地は戦略的に外せない。
するとここでまた、「中国を敵視してはいけない」と考える人と、「アメリカこそ信頼に足りる同盟国」と思う勢力が拮抗する。
安倍首相は典型的なアンチ中国であり、翁長県知事は中国共産党お墨付きの中国派。
DNAも価値観もまるで違うので、これは話し合いで、解決できるレベルではない。
当然のように、両者の会談は決裂した。
当人たちは一応、「会って意見交換した事が良かった」と発表したが、中身は平行線のままで、決して交らない。
実際には、自分の信じる正義に対して、まるで正反対の正義がぶつかり合うのだから、お互いを不倶戴天の敵と見做して徹底的に戦うしかない。

物理的な衝突を避ける為に、民主主義国ではこんな時には、投票で方針を決める事になっている。
しかし民主主義では、51対49の投票結果では、その差はわずか2しかないので、不採用になった49の方には不満が残る。
ほとんど同数の賛否両論があるのだから、諦めきれないのだ。
しかしこれが、民主主義のルール!
残念ながら、少数派には捲土重来を期して、諦めてもらうしかない。
しかし民意っていい加減なモノなので、選挙で決着がついた積りでも、暫く経つと事態が変化する事が多い。
それまでは少数派だったのに、次の選挙では逆転したりする。
そうすると、それまで進めてきた政策が不採用になり、全然違う政策に変ってしまう。
人間は未だかって、独裁政治以外には、意見の対立を解決する手段を持ち合わせてはいない。

今回の沖縄問題は、更にややこしい。
すったもんだの挙句にやっとの事で、辺野古移転しかないと合意していたのに、鳩山由紀夫の思い付き発言で、沖縄県民は「最低でも県外移転」を期待してしまった。
その結果、直近の沖縄県知事選挙では、辺野古移転反対派が勝っている。
しかし国政では、政権交代を果たし沖縄に幻想を齎した張本人、民主党の余りの出鱈目さの反動で、安倍晋三が率いる自民党の圧倒的優勢が続いている。

沖縄の民意を重要視して辺野古への基地移転を辞めるべきとの翁長県知事にも、あるいは国防の観点から辺野古への基地移転しかないとの政府の意見にも、「我こそ民主主義」の錦の御旗がある。
沖縄問題では、政府と現地の間に、どうしようもないねじれが発生しているのだ。
マスコミは無責任だから、「沖縄頑張れ」と応援団を買って出て、翁長知事を煽り立てる。
しかし沖縄に基地が集中しているのは、沖縄の地勢的な重要性の表れでもある。
それを認めた上で、沖縄の負担軽減を考えるのが政府与党、自民党側。
一方、太平洋戦争にまでさかのぼって、沖縄だけが犠牲になったし、今も米軍基地のしわ寄せを一身に受けていると反発するのが沖縄県民の感情であり、それに同情するのがマスコミと野党側。

世の中には、話し合いでも選挙でも解決できない問題がある。
アメリカは日本を守ってくれる友国か、中国は信頼できる隣国かは決して交わる事のない意見の相違であり、残念ながらどちらかがゴリ押しし、どちらかが身を引く以外に解決策がないのだ。
どっちに転んでも、これもまた民主主義だ。