昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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中田翔のファッション

球界の大御所、野村克也には評判が悪いらしい。
日本ハムだけでなく、侍ジャパンの四番バッター、中田翔のファッションだ。
金髪、髭、金のネックレス。
球界を代表する選手なら、身の回りもキチンとしなさい!
いかにも野村克也の言いそうな事だが、年寄りにはこの手の意見を発する人間が結構多い。
しかし所属する日本ハムは、「本人の自覚に任せる」と、不問に付しているらしい。

そこで思い出したが、僕が課長に就任した直後だから、もう三十年くらい前の話だが、似たようなことがあった。
偶々僕のグループに、新進気鋭の新入社員が赴任することになった。
新入社員研修時代に会社からも先輩からも注目され、仲間内でも自然とリーダー格になるようなオトコで、我が社にとっては久し振りの逸材だとの触れ込みだった。

彼が赴任してくる当日は、僕のグループだけでなく、隣近所の女性まで色めき立ち、「ハンサム現る」の噂で持ち切りになる程だったが、現れた新人君は、確かに評判通りに眉目秀麗の丈夫。
が、ただ一点、会社員にしては髪が長かった。
一昔前に、反体制の象徴と言われた、所謂「長髪の若者」だった。
しかしキチンと挨拶もできるし、礼儀正しいので、ヒネタ感じは全くない。

僕が彼に対して、「君の長い髪には、何か想いとか、あるいは主張はあるのか?」と尋ねると、「イヤァ、そんなの別にありません。ただ面倒だから伸ばしているだけです」と返事した。
「ならば、明日には髪を切ってきなさい。無論ファッションは個性の主張だから、何か意味があって長髪にしているのなら文句はないし、客にも堂々と主張すればいいが、面倒くさい程度の理由なら、営業として客を相手に仕事する立場で、敢えて客に嫌われるリスクを冒す必要はない。」
僕は、彼にこう伝えた。
彼は最初に赴任した職場でのこの出来事が結構印象に残ったようで、後々まで、「あの時は少しびっくりしました」と述懐しているが、「むしろ客相手のビジネスを改めて思い知ったので、決して不快ではなかった」とも付け加える。

僕は、日本でも一番人気の某大手企業とも付き合ったが、我々がドブネズミ色も背広で商談している横で、ジーパン、Tシャツで話し合っている連中がいるのに驚いた。
対面の担当者に「彼らはナニモノ?」と聞くと、「我が社のデザイナーたちで、彼等は日頃のファッションから、束縛を避けて自由にしていないと、良いアイディアが浮かばないらしい。連中は社内で、そう主張しています」と、半ばあきれ顔で教えられた。
およそ芸術には縁がない僕は、これを聞いて、成るほどゲージツ家ってそんなものかもしれないと大いに驚き、彼等に対して尊敬の念を持ったものだ。

だから僕は、妙な格好をした若者を、それだけでは決して否定はしない。
何かその格好の中に、自分の主張を織り込んでいるはずだからだ。
むしろ就職活動中に、一斉にリクルートファッションに身を包んでいる若者の方が、没個性的に見えてしまう。
人と違った事をするのは、例えそれがファッションでも、勇気と気合が必要だ。

日本ハム中田翔も、一見チャラチャラした格好をしているが、そんなところで注目を浴びる事で、更に自分にプレッシャーとノルマを与えているのではないだろうか。