昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

川島なお美の生き様、死に様

川島なお美が死んだ。
享年54歳。
病名は肝内胆管癌
 
こんな訃報に対して、必ず「信じられない」とか、「まだ若いのに残念」とか、「素晴らしい人柄だった」とか、枕詞のような追悼の言葉が並ぶ。
しかし「信じられない」などと言っても、一週間ほど前の彼女の写真を見れば、死相が漂っている。
あれを見て、彼女の死期が近いと感じたのは、決して僕だけではないはずだ。
 
僕は、女優、川島なお美は、覚悟の自殺を遂げたと思っている。
 
それまで彼女は、様々なメディアで自分の病気について語っている。
サラッと流しているが、よくよく聞くと、かなりシリアスな病気だとわかる内容だ。
その上で彼女は、抗癌剤の投与も、手術も拒否している。
抗癌剤治療は、肉体的にもかなりの負担を強いられる。
とりわけ特徴的な副作用で、髪が抜けてしまうことが知られている。
別段そのような姿を晒す必要はないし、多くの芸能人は帽子やカツラを被って、人前に現れるのが一般的だ。
 
しかし女優、川島なお美は、それすら自分のイメージにそぐわないと考えたのだろう。
近親者でもないので、単なる想像の域を脱しないが、彼女自身が語ってきた生き様から、そんなことを考えてしまう。
医学の知識が少しでもあれば、癌治療を拒否した場合の生還率が極めて低いのは分かっているはずだ。
それでも尚、彼女は死の直前まで、カッコよく振る舞う道を選んだ。
彼女のブログやメールも、悲壮感は押し隠され、芸能界復帰への強い意欲を書き込んでいる。
 
しかし恐らくは彼女自身は、自分の病気の進捗状況を一番知っていたのではないだろうか。
それでいて、人が自分をどう見るのかを計算しながら、自分の死に様を決め、演じている。
僕は彼女の上昇志向が鼻について、決して好きなタイプではなかったが、やはり川島なお美は只者ではなかった。
 
僕は、死に様は生き様と思っている。
人は死を前にすると、それまでのその人の生き様が鮮明に浮かび上がる。
死を目前にすると、臆病に怯え、我が儘放題になる人もいる。
神様に縋ることで、宗教に救いを求める人もいる。
川島なお美のように、最後を自分の美意識で飾ろうとする人もいる。
どちらが正しいわけではなく、それぞれが必死に死の恐怖と戦った結果だろう。
 
僕は幸いにして、最期を飾りたくなる川島なお美のような名声もないし、誰からも注目されてもいない。
絶対に、近所迷惑なくらいに我が儘を言いながら、野垂れ死にするタイプだ。