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哀れ、舛添要一

 「先ほど申し上げましたように」と、舛添が記者会見で多発した。

どこかで聞いたことがあるフレーズと思ったが、昔の仕事仲間が良く使っていたことを思い出した。
その同僚は、質問に対して釈明する時には、「ですから、先ほど申し上げましたように」と切り出すのが常だった。
何度も聞いていると、耳障りなだけでなく、彼の返答に自信がないことが分かってしまう。
「先ほどお答えしたのでもう分かって頂いているはずですが、念の為にもう一度説明します」とのニュアンスを込めているが、実は前の答えも、その後の答えも、キチンとした回答にはなっていない。
時間稼ぎと「これ以上は責めないでヨ」との哀願がこもったモノで、精神的には追い込まれていることを表すセリフだった、
ただこの同僚の場合は、せいぜい仕事のやり方についての質疑応答だったので、少々内容が怪しくても別段世間を騒がすことはない。
 
しかし舛添要一は、卑しくも前職は参議院議員であり、今は東京都知事の要職にある。
今回政治資金で問題視されているのは、「新党改革」の代表時代のモノらしいが、いずれにしても政治家とカネの問題の醜態が表面化したものだ。
舛添と言えば、コメンテータ時代から歯に衣着せぬ鋭い突込みがウリのオトコだった。
政治家になった後も、自民党参議院議員としてトップ当選を果たし、当選二期目には厚生労働大臣に就任するなどのスピード出世にも拘わらす、「改革」の旗を掲げて自民党を離党するなどのスタンドプレイが人気を集めたこともある。
猪瀬直樹が金銭疑惑で中途で東京都知事を辞任した時の後任候補として、都知事候補に立候補したが、この時には後ろ足で砂を掛けて離党したはずの自民党からも推薦を受け、晴れて東京都知事に当選した。
 
と、ここまではそれなりに評価された人間であり、政治家だったが、東京都知事に就任後は全くパッとしない。
東京オリンピックの東京都負担金について文句を言ったことが目立った程度だったが、それも森喜朗から「舛添君ももうちょっと勉強しないと」と諭された途端に尻すぼみになってしまった。
その後は、朝鮮学校への土地貸与や、贅沢海外出張や度々の別荘通いが物議を醸している。
 
そして今回の政治資金の問題だが、これに対する舛添要一の記者会見が実に酷いモノだった。
日常生活の細々とした買い物を、経費で落とすのもみっともない。
家族旅行で利用したホテルと食事代も、政治活動費として処理するのは言語道断だが、しかし何よりも妙チキリンな言い訳は、「都知事選出馬を決める会議をやったので政治活動だが、誤解を招く要素があったので修正処理する」と言いながら、肝心の会議についてはメンバーを明らかにしないだけでなく、その時の人数すら言わない。
都知事選立候補の為の会議」が、如何に急ごしらえでいい加減なモノかを如実に表している。
記載ミスは経理担当者のミスだが、「ミスが発生したので直すべきところは直すが、その担当者の責任を追及するつもりはない」と言うなら、これほどの政治不信を招いた責任はだれがとるのか。
 
舛添要一の記者会見を見て、「成るほど」と納得した人などいないだろう。
むしろ苦しい言い訳のオンパレードで、語れば語るほど馬脚が表れてしまう代物だった。
とりわけ、家族旅行を政治活動と言い張った為に、更に墓穴を掘ってしまった。
これで舛添要一は、この時一緒に旅行した奥さんに対しては、一生頭が上がらなくなってしまった。
奥さんが、「実はあの時に、都知事選立候補の会議なんかしていません」とでも言おうものなら、舛添要一は完全にアウトになってしまうからだ。
 
今回の問題とその対処の仕方で、舛添要一は67年間かかって培ってきた自分のブランドを全て失った。
舌鋒鋭いコメンテータ、改革に燃える政治家、親の介護を厭わない孝行息子。
毀誉褒貶は激しいが、それなりに気骨を持ったオトコのイメージが一転、「ケチで細かい公私混同の成り上がり」人間になってしまったからだ。
身から出た錆とは言え、舛添要一は自らのケチ臭い性格が災いして、都知事として再選されることがあり得ないどころか、コメンテータとしての働き先もなくなったのが哀れだ。