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「サウンド・オブ・ミュージック」人形劇

映画「サウンド・オブ・ミュージック」が上映されたのは、もう50年以上前だ。
しかしザルツブルグには、今でもこの映画のおかげで、大量の観光客が押し掛けてくる。
我々夫婦が宿泊しているホテルの裏側に、サウンド・オブ・ミュージックポップアップオンバスの出発点がある。
当日チケットも販売しているが、そこには齢65歳前後の年寄りが押し掛けて、ごった返している。
全員が、最も多感だった年ごろにこの映画を見て、マリア先生とトラップ大佐の恋や、背景のザルツブルグ市に憧れた人たちだろう。

もう一つ、昨年との大きな違いに気が付いた。
昨年は市内で、中国人の姿を見かけるのは少なかった。
中国人は、サウンド・オブ・ミュージックの映画を見る機会がなかったので、これは宜なるかな
ところが今年は、街中に中国人が溢れかえっている。
我々が宿泊しているホテルにも、中国人の団体客がいた。
連中が徘徊すると、途端に雰囲気が変わる。
先ず五月蠅い。
次に、朝食で皿からこぼれる程食べ物を持ち帰ることを、何度も何度も繰り返す。
連中の後に行くと、大半の皿で食べ物が残っていない。
どこでもやたらと写真を撮りまくる。
ホテルの食堂に、何てことない普通の絵が描けてあるが、その前で家族揃っての記念写真。
観光地で並んで順番待ちしていても、平気で割り込んでくる。
外国旅行が珍しくて楽しくて、興奮しているのだが、はた迷惑極まりない。
ザルツブルグには、こんな下品な中国人が少ないことを喜んでいたが、ついにこの地も悪魔たちの餌食になったようだ。

この日は、ノンベルク修道院に出かけた。
トラップ一家が音楽祭で優勝した後、オーストリア脱出を決行した時に、一時的に身を隠した場所だ。
長女の恋人のロルフが一家を発見し、葛藤の挙句にナチスに知らせたり、尼さんのシスターたちが、ナチスの車を使用不能にした場所だが、少し街から離れていて、長い階段を上る必要があるためか、サウンド・オブ・ミュージック関連でも比較的に観光客が少ない。
中には入れないが、ここがマリア先生がお祈りした場所、ここにナチスが車を止めたとか、様々な映画の記憶が蘇る。
満足した挙句に、来た道と違った帰り道を選んだのが大失敗。
アッという間に道に迷ってしまった。
ザルツブルグ城と言う格好の目印があるので、道に迷うはずがないと高を括っていたが、行けども行けども田舎道から抜けない。
途中出会った人に、何度も何度も道を尋ねて、やっとザルザッハ川に戻ることができた。

ザルツブルグ最後の晩餐は、すっかり気に入ったザルツブルグ版小籠包。
店に到着した時に、雨雲が立ち込めてきたなと思った次の瞬間、篠つくような大雨になった。
尤もこの地域ではこんな天気は当たり前のようで、店員は少しも慌てず雨対策を優先、
外のテントをしまい込むまでは注文はお預けなので、客はおとなしくテーブルで待っていないといけない。

腹ごしらえが終わり、ザルツブルグ最後の夜はマリオネット劇場で、サウンド・オブ・ミュージック人形劇を鑑賞。
直前の大雨の所為か、客は三分の一程度の入りだが、前部の料金の高い席だけは結構埋まっていた。
チケット手配が遅れたために、我々の席は前から四列目の中央部分。
しかし二列目のドイツ人のオトコは無茶苦茶に座高が高く、せっかくの舞台が大変見にくい。
前列右は中国人夫婦と一人息子で、まさしく俄かサウンド・オブ・ミュージックのファンそのもの。
息子はリブレットまで買い込む気合の入り方だったが、劇が英語なのでついていけない。
直ぐに退屈して、やたらと母親に話しかけるのが耳障りだ。

映画では勝手知ったるストーリーだが、人形劇ではカットされた場面も多かった。
歌の方も、特にトラップ大佐役は下手くそだったが、観客の対象は親子連れが主なので、その辺は大目に見なければならない。
しかし、こんなところにも中国人がいたのが、一番のショック。
今後中国でも、サウンド・オブ・ミュージックの人気が高まるとともに、この地を訪れる中国人が増え、それに伴い、ザルツブルグの雰囲気が変わってしまいそうな、悪い予感がした。
因みに人形劇では、横の壁に五カ国語で、物語の簡単な説明文が映される。
現在はその最下段に日本語があるが、この次は中国語に変わったいるかもしれない。