昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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エルミタージュ美術館

朝起きても、依然として調子が悪い。
腹は減っているが、食欲がない。
こんなのは、初めての経験だ。
それでも薬を飲むために、直径5センチメートルほどの小さなパンを、水で流し込む。


この日はサンクトペテルブスブルグ観光の目玉、「エルミタージュ美術館」に行く。
10時半開館なので、その前に「カザン聖堂」に立ち寄る。
ここには「カザンの聖母」のイコンがあり、熱心なロシア正教の信者が列をなして礼拝していた。
中は今まで見慣れたキリスト教教会とは、明らかに雰囲気が違う。
洗練されているとは言い難いが、独特の素朴さを湛えている。
信者でもないのに、佇まいを直させるような、そんな荘厳さがある。
しかしそんな中にも、中国人観光客が押し掛けている。
彼らは果たして、他人の宗教にどのような考えを持っているのだろうか?
彼らの多くは、単に名所旧跡だから訪問してみたとしか思えない所業を繰り返す。
この日も、聖堂内は撮影禁止なのに、バンバン写真を撮りまくる。
超大型の帽子をかぶり、グラサン着用で、聖堂内を闊歩していたバカ女もいた。


10時15分、エルミタージュ美術館に到着。
この時点で、チケット売り場には長蛇の列ができていた。
これでは1時間はかかると腹を括ったが、10時半の開館時間になっても全く列が進まない。
隣の団体レーンには、後から来た主として中国人の団体客が、スイスイと進んでいく。
どうやら、団体や既にチケットを買っている連中が優先で、一般客は入場制限がかかっているようだ。
妻は、「こんなに広い美術館なのだから、入場制限なんか不要のはず」と不満たらたらだ。
炎天下、且つ病を抱えている人間には、じっと待ち続けるのは辛い。
この状態が2時間続き、12時半近くにやっとチケットを入手できたが、この間はただただペットボトルの水を飲むだけ。
しかもチケット売り場には、14時~15時はティーブレイクと書いてある。
顧客第一など、この国やこの美術館にはありえない。


中に入ると、これはもう芋の子を洗うような大混雑で、ちょっと有名な絵の前には大量の客が犇いている。
取り分けここでも、中国人団体客が幅を利かせ、例によって写真バチバチの、大騒ぎ状態だ。
入場制限をかける理由が分かった。
あまりの人の多さに、気分が悪くなる。
しかもペットボトル持ち込み禁止なので、喉が渇いて仕方がない。
メイン会場の二階はソコソコにして、三階に上がるとそこにはあの中国人団体がいない。
しかもアジア美術が陳列されていて、我が日本の浮世絵や掛け軸のコーナーもあった。
2時間近く美術館巡りをして、ホテルに引き上げた。
昼飯は食欲が戻らず、帰り道で屋台のオバサンから買ったアイスクリームだけ。
このまま疲労困憊で、熟睡してしまった。


目が覚めると妻が、明日訪問予定の「地の上の救世主教会」と「イサク教会」は水曜日定休と言い出した。
「ならば」ともう一度、この名所を訪れることにした。
しかし一日中歩き回った感が強く、体力は限界。
夕食は、ホテルに続くアジア料理店「AZIA」へ。
事前に、店の外に立っていた店員のオネエチャンに、「ウドンヌードルはあるか?」と聞くと「あるある」と答えたので、当たり前だが「ウドンヌードル」を注文。
店員は「OK、ラーメンヌードルね」というので、「違う、チガウ、ウドンヌードル!」と力み返る。
すると店員は慌てて、店の奥に相談に行った。
嫌な感じがしたが、満面の笑顔で戻ってきた店員が「OK、ウドンヌードル」と言ったので一安心。
ところが出てきたウドンヌードルは、何と全く汁気のない焼きうどん、
見ただけで食欲がなくなり、ほんの数本手を付けただけであえなくギブアップ。
結果的に食べたのは、朝の小型パン、昼のアイスクリーム、夜はウドン数本だけと、栄養失調になりそうな一日だった。