昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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貴乃花親方のブログを巡る放送事故

テレビ朝日の番組「スクランブル」で、面白い放送事故があった。
この番組のMCは、橋本大二郎大下容子
水曜日のゲストコメンテータは、銅谷志朗脳科学者の中野信子、と川村晃司
扱った話題は、貴乃花親方が四年前に綴ったブログ、「我が弟子たちへ」だ。
今ネットでは話題になっているので、ご覧になった方も多いだろう。
因みにネットでは、「弟子を思う貴乃花親方の思いが分かり感激した」との評価が圧倒的に多い。
以下少々長いが、全文を紹介する
 
今日から五月場所が始まった。
一日を終えて買ったものも負けたものもいる。
地位も違えば性格も違うから、悔しがっているものも、ホットしてるものもいるだろう。
始まったばかりで言うのもなんだけど。全力を尽くしてやるだけやってくれればいい。
数字的な勝敗も気になるとこだが、そんなことより君たちが生きてきた証を土俵ンも上で堂々と見せるだけでいい。
焦らず、怯まず、躊躇わずに、今まで君たち一人一人に教えてきたことを痾頭に浮かべて、真っ直ぐな気持ちで戦いに挑めばいい。
この世は一切皆空である。
人が思い描けるほどその通りにはいかない、難しい社会がそこにある。
だから、若いのだから怖がらずに戦ってほしい。
親方はこの道の本職だ!戦い方は知っていて、戦わせ方も心得ている。
一念通天、一つの思いは天にも通ずる。
そうやって親方は人生を掴んできた。それ以外の考えはなかった。
土俵に上がり体と心を震わせながら、臆病な自分に負けじと戦ってきただけだ。
青春も涙も味わったことはないけど、今は君たちの取り組みを見るたびに涙が止まらない。
だから他に何も要らない、ただただ運命を超えた涙を味わってほしい、それだけだ!
「自分がここまでやれたんだ」と感じられるだけでいい。
親方がついている。一緒に土俵にはあがってやれないが、親方は命を懸けてみている、不惜身命で見ている!
それぞれ得意な技があるけどども、闘いに最も必要な業は『諦めない気持ちで挑むこと』だ!
相手が大きくて強いと思うほど、自分から目を離さずに、相手からも目を離さずに戦うことだ。そうすれば勝利の女神がどこかにいてくれる。
自分が怖くなった時こそ、向かい合う相手に仁義を通し、睨みつけて行けばいい!
すべての君たちの取り組みを替わってやれるものなら替わってあげたい。
一騎当千であるつもりだよ!
親方は相撲のことしか知らないけど、相撲のことしか詳しくはないけど。師匠から相撲の哲学を学び、必死で身に着けた。
毎晩腹の底で泣きながら、心とからだを鍛えてきた。
門限が過ぎたら気を養うように寝ていた、自分が生きていることの実感を知りたくて。
布団に入る時だけがその時だった。
布団に横たわるまで死力を尽くして生きてみたい、と思いながら毎日を暮らした。
誰彼に良く思われようなんて考えたこともなかったよ。
喧嘩っぱやかったし、怖いもの知らずだった。
でも今は君たちの取り組みを見るのが怖い、ただただ怖い。
でも歯を食いしばって見つめているんだ。神様をも味方につけようと思って。
それでも神様が味方してくれなかったとしたら、親方が受けて立つ思いで見ている。
神様を敵に回しても親方はなにも怖くないさ。ただ、君たちが怪我をするのだけがすごく怖い。
神様は居るようでいないものだよ。居るとしたら、君たちの守護神は親方さ。
君たちのためなら、例え世界中の神様を敵に回したとしても、なにも臆することはない。
もしも神様が君たちの命を奪いに来るのであれば、親方が奪い返す。
親方は相撲しか知らない。相撲は詳しい、負け方も勝ち方も心得ている。
しかし君たちには勝たせることしか教えない。命懸けで勝たせる。
心が倒れそうな時には立ち止まって踏ん張れ!そこにいればいい。
敗けを知れば勝ちを知る。その方法は親方が知っている。
先代から与えられた哲学と自分で培った勇気がある。その勇気の中には綺麗なものも汚いものもすべて入っている。
来るとこまで来たらこっちのものだ!
親方が教えた五進(護身?)術は全員に教えている。言い方は違うけれども一視同仁だ。
これは君たち以外には教えない!
その答えは、師資相承の中にある、絆という掟の中だけにある。
男には男の道ががる。
力士には力士の道がある。
この国の今後は亡き親方に代わり伝承せよ!
先祖伝来の牙城を守り抜け。
 
中々格調高い文章だ。
勿論番組の構成は、「この親方と弟子の感動物語を共有しましょう!」にあったはずだ。
 
ところが、口火を切った銅谷志朗の発言でヅッコケてしまった、
「これは貴乃花が書いたものではありません。彼が懇意にしている法主の文章でしょう」と、とんでもないネタ晴らしをしてしまった。
続いて脳科学者の中野信子
貴ノ花親方のピュアさが全編に現れているが、これでは組織人としては行き詰るのでは」と不安視する。
トリをとった川村晃司
貴ノ花親方が弟子を思う気持ちは分かるが、一点気になったのは、神様は居るようでいない、君たちの神は親方だとの表現で、これでは今後の国際化の中では多様な価値観を持つことが出来ない」と手厳しかった。
慌てた橋本大二郎が、「僕は貴乃花親方が神様と言っているとは思わないが、弟子にとってこれほどの親方の強い思いは重荷になるのでは」と、何とか話を戻そうとするが、川村晃司は「「しかし守護神は親方を英訳すると、世界中に自分が神様だと発信することになる」と譲らないところでコマーシャルになった。
コマーシャル開けで橋本大二郎は「このブログの文章は、貴乃花親方が書いたことは間違いない」と、銅谷志朗の発言を修正して番組が終わった。
 
僕もまた、中学を卒業してするに相撲取りになり、日頃もほとんど口を開かない貴乃花にしては、些か文章が練れ過ぎているとの感じはある。
しかし川村が言う、「親方が神様」との解釈は極端すぎるし、またこんな文章を英訳しても外国人が関心を持つはずはないと思う。
貴乃花の、日本相撲協会の透明性を上げるとの主張は一見国際化の先取りにも見えるが、実際の彼の求めている世界は「古き良き時代の日本相撲道復活」で、大いに旧態依然とした世界への先祖返りだ。
誰が書いたかよりも、書いてある内容こそが貴乃花が目指す相撲部屋の在り方と思えばいい。
 
しかし貴乃花の思いがどうであれ、彼の相撲道が相撲協会の主流になるのは難しいだろう。
何故なら古き良き相撲の世界は、実は既得権益塗れの後援者や反社会的勢力によって守られてきてからだ。
貴乃花改革が斬新であればあるほど、抵抗勢力も多い。
貴乃花の考えは、世間の注目は集めるかもしれないが、早晩自家撞着に陥る。