朝6時に目が覚めると、何と喉が痛い。
昨晩余りに温泉に漬かり過ぎ、体を冷やしていたのが悪かったようだ。
実は現在、心臓カテーテル手術を来月に控えかなり厳しい投薬治療中で、「病院で与えられた薬以外は一切使用禁止」状態なのだ。
風邪薬さえ飲めばすぐに治る程度だが、それが出来ない。
病院に電話して、飲める風邪薬を確認しようと思ったが、電話するには時間が早すぎる。
万策尽きて、そのまま眠ってしまった。
次に起きたのは、午前7時。
一時間ほど眠ったのだが、何とその時には、喉の痛みが取れていた。
さすがに朝の露天風呂は遠慮したが、旨い朝食をとって、本日の目的地「抱返り渓流」へ。
午前11時頃到着した目的地だが、駐車場前の路上に臨時の料金所が出来ている。
聞けば、「観光シーズンだけは駐車料金300円を前払い」と言う。
何とも阿漕だが、ここまで来て素通りはない。
割り切れない思い乍ら、駐車料金を支払い、最終目的地「回顧の滝」を目指して歩き始める。
入り口の抱返神社で、神楽を踊っていたのでしばし見物。
抱返り渓流では、先ず「神の岩橋」を渡り、川面からかなり高い位置からエメラルド色の川の水を愛でながら、片道30分かけて山道を歩く。
途中に「茣蓙の石」や「帝釈の岩屋」などの見せ場があり、三つのトンネルを抜けると「回顧の滝」の辿り着く。
この滝もまた中々に優雅な風情で、振り返りたくなる気分にさせてくれる。
抱返り渓流見物の後は、角館武家屋敷の紅葉見物へ。
この地は、春の季節は桜が満開で観光客であふれかえっていたが、紅葉見物の客は少ない。
長居は無用と、今回の旅行の最終目的地、田沢湖へ向かう。
小学校の教科書で、「日本一深い湖」と教わった田沢湖もまた、紅葉は有名だ。
十和田湖の「乙女の像」をイメージしていたが、田沢湖の「辰子姫像」は何と金色。
絶世の美女で、更に未来永劫の美を求めたと言われる辰子姫だが、正直な感想は、「太った金粉ダンサー」で、まるで感激がない。
湖の対岸の紅葉を見て、早々に盛岡を目指した。
盛岡駅前でレンタカーを返却し、二泊三日の紅葉見物旅行を終了。
春の花見旅行は三日中二日を雨に祟られたが、今回は三日とも晴れ。
やはり、紅葉と青空の組合せは見栄えがする。
しかし後ろの席のオヤジが、絞り出すような咳を繰り返す。
その凄まじさは、隣に座っていたオバサンが居た堪れなくなり、とうとう途中で車両を替わってしまったほどだ。
病気だから仕方がないのかもしれないが、せめてマスクくらいはしてほしい。
傍で傍若無人に咳き込まれると気分が重くなるが、何はともあれ来月の心臓手術を前に、二泊三日の紅葉見物の旅が無事に終了して、少々英気が養われた。