判定を聞いて驚いてしまった。信じられなかった。
亀田はどう贔屓目に見ても負けていた。
単に一回にダウンを喫しただけではない。
その後、彼なりに良いパンチを当てていたが、それと同等以上にランダエタの有効なパンチを浴びていた。
顔面の傷を見てもダメージが圧倒的に亀田側にあったのは明白だ。
唯一ランダエタが失敗したのは、敵地日本で亀田をKO出来なかった事だろうが、それでも彼は12ラウンド終了後自分が負けているなど信じられなかっただろう。
亀田自身が、勝者を告げられた時、単純にラッキーだった事を表情に出していた。
亀田に対して先輩具志堅が、「亀田の真の実力は不明」と遠慮がちながら彼の世界挑戦に疑問を呈していたが、今回の顛末を見るにつけ、さすがに具志堅は世界チャンピオンだっただけに極めて客観的に実力を見極めていたと思わざるを得ない。
世界チャンピオンは文字通り世界一の実力者のはずである。
今回の世界チャンピオン王座決定戦の結果は、世界一の実力を有しない亀田が世界チャンピオンを名乗るとの馬鹿げた結果となってしまった。
今回の判定は、長い目で見ればボクシングへの冒涜であり、ボクシングの人気を落としてしまう暴挙である。
また、亀田が作られた虚像だったと日本中に分からしめた悲しいイベントだった。
日本ボクシングの前途は真っ暗である。