最近､年とともに物忘れが激しくなってきた｡
とにかくあらゆる物を忘れる｡
特に､人の名前は聞いた途端に忘れている｡
情けない思いをしていたが､考え方では素晴らしい能力に磨きがかかっているともとれる｡
中国語で電脳､即ちコンピュータは､人間の脳に如何に近づくかで日々技術が研鑚されている｡
将棋では､つい最近コンピュータ対竜王戦が企画され､コンピュータがかなり善戦したとも言われているが､やはり最後は竜王の貫禄勝ちで終わった。
また､暗算の速さでは一般的な人間はコンピュータに敵わないが､算盤名人ともなると互角の闘いが出来る｡
要は､いくらコンピュータ技術が進もうとも、最後の最後は人間様の脳の働きには敵わないと言うのが結論である。
しかし､一つだけ､絶対に人間がコンピュータに勝てない能力がある｡
それは､オールクリア機能､即ち忘却力だ。
コンピュータの場合､ボタン一つで一瞬のうちにそれまでの記憶を消し去る事が出来る｡
人間様はこうは行かない。
余計な記憶をたくさんしまいこみ､肝心の覚えなければならない事を忘れてしまう｡
忘れる事は、生きていく上で大変大事な能力で､例えば悲しくて仕方ない事をいつまでも覚えていると､人生を儚み､ついには自ら死を招いたり､あるいは引きこもりになってしまう｡
僕は､既に両親とも失っているが､特に母が死んだ時は､世の中でこんなに悲しい事があるのかと思い、生きているのがつらいほど嘆き苦しんだ｡
しかし､今やその悲しさは忘れ去り､何とか新たな目標を見つけ生きている｡
悲しさを忘れ､乗り越える事は､絶対に必要な能力である事が分かる｡
そうなのだ｡
僕は､年をとるに従い､たくさん悲しい事､忘れたい事に遭遇するようになった｡
その時こそ､現在進行中の忘却力強化が役に立っているのだ｡
前向きにそう思う事にしよう！
