昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

元オウム真理教中川智正の死刑判決翻らず

たしか中川智正は、架空オウム帝国では麻原彰晃こと松本智津夫の主治医であり法皇内庁長官でもあり、バリバリの幹部だった。
彼は、京都府立医科大学医学部医学科卒業した医者だったが、1988年オウム真理教に入信後すぐに坂本堤弁護士一家殺害の当事者として犯行に加わり、幼子殺害の実行犯でもある。
その後サリン製造にも関り、無差別大量殺害テロ計画、いわゆる地下鉄サリン事件の原因ともなった。
いかに松本智津夫によってマインドコントロールされていたとしても、彼の犯した罪は万死をもっても償いきれない。
「豊富な医学知識を悪用した」として、一審だけでなく、高裁での控訴審でも死刑判決が覆られなかったのも当然だろう。

しかし、奇妙な事に彼に対しては同情の声が多い。
実際に中川によってサリンで殺害されそうになった滝本太郎弁護士も、「松本の代わりはいないが、中川被告の代わりは、いくらでもいた」として、悪いのは全て教祖なので、中川の死刑判決を望まないと意見陳述で述べている。
また、教団からVXガスで殺害されそうになった「オウム真理教被害者の会」永岡浩行会長も、行政や警察の捜査の遅れが、若者に道を誤らせ、取り返しのつかない事態を招いたと、むしろ「中川も、ある面では被害者」との見方をしている。

確かに、オウム真理教に入信した若者は、この不条理な世の中に絶望した真面目な若者が多かったらしい。
純粋であればあるほど、免疫性も少なく、松本智津夫の荒唐無稽な教義に感化され、社会に反抗し、自ら積極的に罪を犯し、罪もない多くの人々を傷つけた。
中川は、今になって真摯に反省しているようで、従容として死を持って罪を償う覚悟を固めているようだ。
その姿が、見る人によっては、清々しく見え、また彼の持つ医者としての能力の高さを惜しみ、死刑以外の判決を望む動きへとなっている。
先の滝本太郎弁護士は中川に対して、二度とこのような事件が起きないよう、オウム真理教徒の犯罪について知る限りの真相を話す事が必要であり、そのためには死刑にしてはいけないと主張している。

麻原こと松本智津夫は、死刑を恐れるあまり、狂気を装い、事件について何一つ語らないうちに、時間稼ぎだけに終始した弁護団の最大のチョンボで、死刑判決が確定してしまった。
教祖の無様さが異様だっただけに、真摯に反省している弟子達には、中川にしても、途中から麻原批判の急先鋒を務めた元諜報省長官井上嘉浩にしても、「悪いのは彼らではなく麻原だから寛大な判決を」との弁護が聞かれる。

しかし、中川も井上も自らの手で数多の人を傷つけ殺した張本人でもある。
いくら教祖の影響下にあったから犯した罪でも、その後いくら真摯に反省しようと、犯した罪が消えるわけではない。
僕は、多くの被害者の苦しみを考えれば、感傷的に彼等の死刑反対という気にはなれない。