昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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自動車が売れていない!

自動車が売れていない。
三カ月連続で自動車保有台数が減少した。1960年代以来らしい。
人口減少、若い人の車離れが原因と言われているが、無論現在の原油高も無縁ではない。
日本だけでなく世界経済の牽引業種だった自動車産業の低迷だけに、膨大な下請け企業群から、保険、整備、燃料などあらゆる分野に悪影響が発生する。
更には、車が増える事を前提に計画されてきた道路整備政策も見直しが必至になる。

今や、車の販売不振は即景気後退につながるような大事件なのだ。
かなり前から、日本国内では既に車の保有台数は飽和状態と言われていたが、景気が絶好調と勘違いされてきたアメリカや、バブル経済真っ只中の中国、インド等の発展途上国での車購買意欲高まりの中で、トヨタ、ホンダを始めとした日本の自動車メーカーはグローバルにシェアを拡大、我が世の春を謳歌してきた。
煽りを食らってアメリカのビッグ3は長期低迷を余儀なくされたが、結果としてトヨタは生産台数世界一の自動車メーカーになり、年間2兆円を超す利益を上げ、「カイゼン」は英語になり、生産方式は世界一の評価が定着し、グローバルエクセレントカンパニーの名をほしいままにした。
その経済躍進の代名詞だった日本の自動車業界ですら、今年は減収減益となる。

良く良く考えれば、少なくとも日本においては車はもう作る必要がない程大量に所有されているのに、車は毎年1千万台も作られている。
本来、日本の車は故障知らずで、丁寧に手入れすれば間違いなく10年以上は動き続ける。
現に日本の中古車は、ロシアや東南アジアでは高値で売買される。
しかし、日本の自動車産業は更なる収益を目指し、不要なモデルチェンジを繰り返す。
また、いかにも官僚国家の典型だが、世界でも類を見ない車検制度もあり、日本では三~四年で買換えが一般的になるよう、消費者の購買意欲を刺激し続けている。
その結果、貴重な鉄鋼、石油化学資源を大量に使用する新車が毎年毎年作られ、出来上がった車は、貴重な石油を単なる燃料として消費してしまっている。
しかも環境問題に関して実は自動車は、残り少ない資源をガブ飲みしながら大気を汚染している、諸悪の根源なのだ。

自動車産業の裾野はピラミッドのように広がっている。
世界中で自動車関連の仕事をしている人達はたくさん存在している。
この人達は、車を作り、販売する事で、利益を上げ、更なる消費を生み出している。
万一、自動車を作ることがなくなれば、一挙に世界は不況になってしまう事は間違いない。
しかし、空気は奇麗になり、資源の枯渇危機は遠のく。
税金を無駄に使って不必要な道路を造る事もなくなる。

車が売れないのは悪い事ばかりではない。