会社で悪性と思われる風邪が大流行している。
当方の周辺でもマスク姿の社員が多いが、中でも男女一人ずつは実に不快な咳きを頻発している。
「グフォッ、グフォッ」と、マスクなんてほとんど効果がないような肺から絞り出るような咳きなので、思わずたじろいでしまう。
周りの全員は、「全く困ったもんだ」と白眼視しているが、当の本人は苦しさの余りそんな事にまで気が回らないようだ。
そんなところに、とうとう家族が新型インフルエンザに罹患した社員が登場した。
昨日、名古屋支店に勤めている彼が東京に出張してきたのだが、頑丈なマスクで顔を覆い、「イヤァ参りました。息子がインフルエンザにかかりまして」と挨拶しまわっている。
まるで「時の人」にでもなったように、いささか自慢気に喋っている。
あまりの能天気ぶりだが、行く先々で、「側に寄るな」といかにも迷惑気に扱われて、さすがにやっと事態の重大さに気づいたようだ。
ショボンと部屋に籠っていたが、時既に遅し。
かなりの病原菌が、会社中に振りまかれたものと思われる。
当方、もう数週間風邪の症状が抜けない。
熱は全くなく咳きも出ないのだが、何となく気だるいし、鼻がクシャクシャと痒い。
体調が優れない日は、定時に退社、風呂にも入らず、風邪薬を飲んで八時頃には寝てしまうのだが、それでも完治していない。
そんな時に、強烈な伝染力の病原菌が近づくと、かなりヤバイ。
どうも風邪の病原菌は、会社が一番の温床のようだ。
これじゃ会社にいるとマズイので、サッサと出張する事にした。
