昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

流血の惨事、タイ反政府デモの中身!

死者まで出たタイの反政府デモが、ひとまず終息した。
ただ、タクシン派は地盤の農村でも暴動騒ぎを繰り返しているので、まだまだ予断を許さない。
ラマ王朝屈指の名君といわれる現プミポン国王の体調が悪く、今回の問題の解決を困難にさせているとも言われている。

僕は、「微笑みの国」と言われるタイに潜む危うさを聞いた事がある。
あまり知られていないが、タイには王室への不敬罪がある。
ユル・ブリンナーが主演した「王様と私」は、タイでは上映禁止になっている。
タクシーで日本人同士がタイ王室を話題にすると、必ずタイ在住の友人からストップがかかる。
運転手は「プミポン」の言葉に敏感で、例え日本語が理解できなくても、表情とか喋り方で皇室に好意的な話題かどうかはわかるらしい。
警察に連れ込まれると厄介なので、国王やその家族の名前を出す事は憚った方が良いと言われた。

今回の暴動は、タクシン前首相の資金援助を得た団体が、タクシンの復権を求めて集団示威行動に至ったものとされる。
タイではよくある、前政権のタクシン派と現政権のアピシット派の権力争いでしかないはずだ。
タイではどんなに内部対立が先鋭化しても、プミポン国王が調停に乗り出すと、あっと言う間に解決するはずなのに、しかし今回の暴動は流血の事態にまで至った。
今回、国王が調停に出馬しなかった理由として、一般的には国王の健康問題が挙げられているが、タイの内部事情を聴くと、そんなに単純ではないようだ。

大まかには、タクシン派は農村を中心にした貧困層が支持基盤、一方のアピシット派は都会の中産階級やエリート層が中核だが、実はタイ皇室への距離感も対立点となっている。
タクシンが貧困層に絶対的な人気を得たのは、彼が首相時代に行ったバラマキ政策に拠る。
そしてそのバラマキ政策こそ、タクシンが政権を追われた原因と見られている。
クーデターの結果としてタクシンは首相時代の不正蓄財で有罪判決を受けたが、実は両派は王室をめぐっても争っていた。
アピシット派は、「タクシンは自分が王様になろうとしている!」との疑念を持ったらしい。

タイでは密かに語られる話だが、歴史的に9代以上続いたタイ王朝は存在しない。
そして現プミポン国王はラマ九世。
更に、子息は決して国民の尊敬を集める皇太子ではない。
ラマ王朝も、安泰ではないのだ。
そこに、今回の反政府デモが発生した。
現在は武力鎮圧で小康状態となっているが、今後のタクシン派は現政権だけではなくラマ王朝そのものとも対立する可能性がある。

プミポン国王が好きな黄色がシンボルカラーの現政権派に対して、共産主義のシンボルカラー赤色で統一するタクシン派。
タイでは、今後とも不安定な政局が続くと見なければならない。