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フィリップ・トルシェの慧眼

「駄目だろう」とは思いつつも、前半戦が0-0だと、「ひょっとしたら勝つかも」とか「勝つのは無理でも、引き分けなら」と期待してしまう。
昨夜の日本対オランダ戦、結果は「やっぱりナァ」だったが、ついつい見入ってしまった。

それにしてもオランダのスナイデルのシュート、「凄かった!」
ビデオで百回以上見せられた対カメルーン戦、本田のシュートに比べて格段の差がある。
専門家によると、本田は「トラップミスしたが、落ち着いてシュートを決めた」ものらしい。
ならば、ディフェンスがもっと厳しいチームなら、体を入れられて失敗する可能性がある。
しかしスナイデルのは、弾丸ボレーシュート
GKは手に当てているのだが、弾き飛ばされている。
どうにも防ぎようがない。
やはり日本サッカーは、世界一流のプレイには遥かに至っていない。
ベスト4や優勝宣言は、まさに戯言だったナァ。

昨日土曜日は、ほぼ半日、日本中が興奮状態だった。
テレビ朝日の大騒ぎは、民放のエキセントリックさと大目にみよう。
しかし、本来は冷静沈着なはずのNHK衛星放送でも、カメルーン戦の完全再放送とか、茶坊主解説者が「こうすれば日本に勝機が」とか、「オランダの弱点」とかを延々と放送していた。
聞いていると、万が一の可能性が、百が一程にアップしてくる。
しかしフィリップ・トルシェだけは違った観点から解説していた。

彼曰く、
  日本とオランダでは実力差があり過ぎる
  日本にとっての勝負は、デンマーク戦
  自分ならデンマークに勝つ事だけを考え、オランダ戦は捨て試合。主力メンバーは使わない
そして言い難そうに「自分は日本が好きだ。勝って欲しいが、スコアは2-0でオランダが勝つ」と付け加えた。
結果的には、点数こそ違っていたが、内容はトルシェの言う通り。
また幸いにも主力選手のイエローカードこそなかったが、体力消耗も含め、デンマーク戦出場停止のリスクに晒した事は間違いない。
(因みに「カメルーン戦での最優秀選手は決勝点を決めた本田」と言うゲストに対して、トルシェは「アシストした松井だ。彼が繰り返し敵陣深く侵入した結果、あのゴールが生まれた」と、単に結果を見るだけでなくプロセスが大事だと力説していた)

監督たるもの、目的から逆算した戦略・戦術が要求される。
最近読んでいる元野球監督の野村克也の著書には、長期戦だけでなく、プレイオフ日本シリーズの様な短期戦でも、ひたすら毎試合で勝利を狙うのではなく、必要な勝ち数をとる為の捨て試合の必要性が繰り返し力説されている。

岡田監督が、今回のワールドカップでベスト4を目指すのであれば(「そんな世迷い事は」との気もするが、)予選突破しなければ話にならない。
それを確実に実現するには、勝ち目のないオランダ戦よりも可能性の高いデンマーク戦に必勝の作戦を立てるべきだ。
トルシェの主張は、なるほどと思わせる。

結果は、
  「日本大善戦!」
  「惜しかった!」
  「課題が見えた!」
等、相も変らぬ提灯記事や、楽観論が蔓延している。
これでは、今回の日本も「残念ながら目標未達」で終わってしまうだろう。

今更ながら昨日の馬鹿騒ぎの中で、フラットスリー戦術で一世を風靡したフィリップ・トルシェの慧眼だけが光っていたように思った。