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中国民主化活動家ノーベル平和賞の本音と建前

今や世界第二位のGNP大国、中国の存在感が世界的に増している。
今の世界経済は、中国抜きでは成り立たない。
その中国を巡って、大きな動きがあった。
中国の民主派活動家、劉暁波ノーベル平和賞受賞が決まった。
元々この受賞に圧力を加えていた中国では、そのニュースの瞬間、テレビ画面が真っ暗になったらしい。
この事は、中国で如何に言論の自由がないかを端的に表している。
先に中国人でノーベル賞を受賞したチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世もそうだが、ノーベル賞委員会は中国共産党政府が嫌っている人を高く評価しているよ。
この事もまた、中国の価値観が西欧社会とかけ離れている事の証左だ。

現実の中国は、中国共産党一党独裁によって統治されている。
中国の人口は14億人とも16億人とも言われ、正確には分かっていない。
上海を始めとした東部の海沿いは21世紀の最先端にあるが、西部の山中は19世紀の生活。
そんなゴッタ煮国家をまとめ上げるのは、百家争鳴の民主主義ではどだい無理。
強烈な中央集権の「共産主義」的イデオロギーしかあり得ないのだろう。
誰もが、中国の政治体制には大きな危惧を持っている。
しかし誠に身勝手ながら、この国に民主化の波が押し寄せると逆に安心して商売が出来なくなる。
建前は、「中国も民主化を求める世界中の声に耳を傾けなければ」等と言いながら、本音では「劉暁波なんか、中国の極々一部の意見」と中国共産党の強硬姿勢に理解を示すか、あるいはこの問題に全く触れず、民主化運動に無視を決め込む。
表面的には中国の国際的非常識は困りものだが、実際に中国とビジネスをしている連中には、中国共産党は必要悪と認識されているはずだ。

間違いなく急速に国家として力をつけてくるにつけ、比例して中国古来の中華思想や侵略的な体質も顕著になってくる。
それが分かっていても、日本企業は縮小する国内市場対策として、海外、特に中国で生き残る術を見出そうとしている。
そしてそんな企業は、否応なく傲慢極まりない中国と付き合わなければならない。
僕自身も、中国で会社経営に関与した時、共産党政権下では、規制や法律が急に変更になるような不条理さはあるものの、それでも地方自治体や開発区で共産党の影響が強いほど交渉相手が絞りやすく、手続きが簡単だった経験がある。

天安門事件以来、中国の民主化運動は中国共産党の厳しい監視下にあり、自由を奪われた活動家への同情は世界中に溢れている。
今回のノーベル平和賞も、そんな観点から劉暁波に与えられたものだろう。
そのニュース配信を禁止した中国共産党の姿勢は、世界中から囂々たる非難を浴びるに違いない。
それもごく暫くの間だけ。

中国では政治と経済は不可分の武器で、全ての国に対して「中国との取引が大事なら中国政府のやり方を認めろ」と恐喝してくる。
そんな中国政府を批判するのなら、経済への悪影響を恐れてはならない。
先般会った会社の社長は、「我が社は1980年代から海外を目指し、タイ、シンガポールインドネシアベトナム、台湾に店を構えたが、国と国民が信用できなかったから中国には進出しなかった」と言った。
「武士は食わねど高楊枝」精神が必要だ。
しかし、このような考えは極めて例外だろう。
喉元過ぎれば、利権を求めて中国と中国共産党へ謁見を求める日本企業が列をなすに違いない。