昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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責任の取り方!

仕事で一番大事なのは、各々の立場で責任を全うする事だが、これは、簡単そうで、実は難しい。
実際は、大半のケースで、如何に責任を逃れるかが腐心される。
今回の尖閣列島問題で、船長釈放の判断を沖縄地検に全て押し付けた菅直人首相の態度こそ、将に責任逃れの典型だ。
しかし、菅直人は政権維持しか関心がない為か、組織の長として責任の自覚しているようには見えない。
国歌の危機管理上は、由々しき事態だ。

民間の会社運営でも、組織のリーダーには責任問題が付きまとう。
極論すると、リーダーは責任を全うする為に存在するとも言える。
僕のサラリーマン人生で、大いに感銘を受けたリーダーがいた。
僕がある業務を担当してすぐに、社員から「重大な問題解決がずっと先送りされてきた」と教られた。
大変解決が難しい問題なので、誰もが見て見ぬふりを決め込んでいたらしい。
確かに嫌な話なので僕も出来たら聞きたくなかったが、それでは勇気を持って告発してきた社員に申し訳ない。
やむを得ず腹を括って、具体的な解決方法を指示した後、時のトップリーダーに知り得た事実を説明した。

翌早朝、彼から「チョット部屋まで来て欲しい」と電話があった。
彼は、「問題の存在を知った以上、自分の立場では公表せざるを得ない」と言う。
僕は、「後三カ月あれば解決できる。時間との勝負だが、自分に任せて欲しい。全責任を取る」と懇願した。
公表した時の騒がしさを考えれば、僕の方も必死だった。
彼は暫く考え込んだ後、「それでは君に任せる。辛い立場になるかもしれないがよろしく頼む」と、僕の依頼を受諾してくれた。
そしてその後、彼が放った言葉を僕は一生忘れない。
彼は、「心配は無用だ。君が責任を問われた時は、僕も一緒に職を辞す。リーダーなんて、責任をとる為だけに必要なものだよ」と、笑みを浮かべた。

幸い、この問題は関係者の努力で、期間内に全面的に解決、僕も、彼も、責任を問われる事はなかった。
組織的危機回避の好例なのだが、知っているのはわずかに当事者数人だけ、後任者は、過去に問題があった事さえ知らない。
問題が白日のもとに晒される前に解決した場合は、誰もその重大さが分からない。
だけどそれがベストの解決なのだ。
自慢げに何もかも全部を知らしめる事が、正しいわけではない。

僕は、この問題の処理に関しては今でも正しかったと確信しているが、それが出来たのも、時のリーダーの責任の取り方があったからと思っている。
その後、彼とは仕事上の関係がなくなったが、たまに会うと二人にしか分からない笑顔でこの時の話をする。
その都度、僕は万感の思いを込めて、「お陰さまで」と感謝する。

僕自身も、彼の様なリーダーになりたい。
いつもそう思って仕事をしてきた。