昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ATMシステムから日本を見れば

世界中どこを探しても、日本ほどATMシステムが定着している国などない。

そもそも日本では、ズボンの後ろポケットに、無造作に財布を押し込んで街中を闊歩しても、掏摸の被害が極めて少ないほど安全な国だ。
向う三軒両隣、悪い人などいないと思っている上に、ATMはいかにも重厚に見える機械設備なので、畏敬の念を持っているのかもしれない。

日本人にはまるで不思議とは思えないこんな光景は、しかしグローバルスタンダードではありえないほどの無警戒さととらえられ、犯罪集団にとっては「濡れ手に粟」の据え膳そのものに見えるはずだ。
実際に原発トラブルで強制退去を命じられ、鉢呂前経産相によると「死の町」と化したフクシマでは、火事場泥棒が跋扈し、大半のATMが破壊され、金銭が強奪されていたらしい。
今までは平和そのものだった地域でも、一旦阿鼻叫喚の地獄となると、怪しからん事を仕出かす輩が徘徊するものだと、大いに悲しくなってしまう。

しかし今までの日本では、泥棒諸氏も「お天道様が見ている」事への恐れからか、世間の目を気にして、極端に荒っぽい犯罪は発生しなかった。
おかげで、日本中どこに行っても、チョッと小金が必要になれば、その辺のATMですぐに用が足せる便利な世の中になっている。
銀行や金融機関にとっても、勤務条件にも給料にも文句を言わないATMは、出来が悪い割には待遇改善要求にだけは熱心な社員に比べても、大いに使い勝手のいい「愛いヤツ」だろう。
当方も、結構ATMの利用頻度が高い方だ。
最近では、まとまった金額を持ち運ぶのが嫌で、電車に乗る前に一旦預金し、降りた駅で引き降ろすような、一種の財布代わりに使ったりもしている。

ATMに関して一番驚くのは、札を数える正確さだ。
実は日本では、無人のATM設備がかなり多く存在しているが、これは単に犯罪が起きないだけでなく、支給される金額が絶対に間違っていない事が前提になっている。
万一にも、自分の指定よりも少ない金額が支給されたとすると、大揉めになってしまう。
第一、 自分の正しさを証明する手段がない。
ところが実際のATM設備は、見事なまでに正確な金額を支給してくる。
むしろ人間様よりも、信頼感が高いかもしれない。

何気ない日常だが、治安の良さと共に、技術力の高さと相俟って、日本全国で便利なATMが稼動している。
世界に誇る日本の制度と、大いに自慢してよい。
早くフクシマにも通常の平和が訪れ、安心できるATM社会が復活することを祈るばかりだ。