昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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東京見物させたいものと......

東京に住んで、(正確には「東京近郊に住んで東京に通勤して」だが)、30年を越した。
元々田舎ッペ大将だった割には、着こなしも身のこなしも洗練されている。
今やすっかり、身も心も江戸っ子ダァイ。
誰が見てもバリバリの都会っ子の割には、お国訛りが取れず、東京方言の「チャッタ」が使えない。
生粋の俄か江戸っ子には、それなりに悩みがある。

高校生の修学旅行で、生まれて初めて上京した。
学生服を着た可愛い坊やは、やれ皇居だ、二重橋だと引き回され、ビートルズが公演した武道館に感激、駒沢の国立競技場で昼食の弁当を食べた記憶がある。
花の東京見物は、田舎モノ丸出しの、今から思えば顔から火を噴くほど恥ずかしい集団行動だった。

しかしそれ以来、いわゆる東京の名所見物などした事がない。
早朝仕事に出かけ、夜に帰る。
その間は、会社でクダを巻いたり、顧客訪問で時間を潰したりしているが、ゴキブリと同じ習性で、同じ道を同じように行き来している。
途中、目の保養とかで文化施設に出かけたりして、教養を身につけるような努力もしていない。

何と勿体無い事だろう。
東京には、世界に誇る文化が、至る所にふんだんにある。
タクシーから見える風景にも、如何にも由緒ありげな銅像や、建物、謂れを知りたくなるような可愛らしい名前の坂などが溢れている。
そう言えば、上野動物園のパンダも見た事がなければ、皇居にも出かけた事もない。
初詣で有名な明治神宮も、新宿御苑も、原宿通りも、六本木ヒルズも、まるでお呼びではない。
東京タワーも遠くから見るだけ、歌舞伎も見た事がないし、有名人の来日コンサートも行かない。
はとバスには、乗りたいと思ったことすらない。
銀座の店など、入っただけで値段の高さを心配して落ち着かない。
秋葉原を楽しむなんて、年代的に無理。

1 写真で見ただろう おっ母さん
  お堀にうつった 二重橋
  東京見物 させたいものと
  云ってた兄貴も 草葉の陰で
  にっこり笑って 見てるだろ

2 はなしに聞いたろ おっ母さん
  上野の山の 大男
  東京見物 西郷さんだ
  お国の為だと 笑って死んだ
  兄貴の横顔 思い出す

3 おがんで行こうね おっ母さん
  靖国神社だ あの鳥居
  東京見物 させるといった
  やさしい兄貴が 戦友達と
  眠っているんだ 逢ってゆこ

往年のヒット曲「東京見物」のおっ母さんは、二重橋や、上野の西郷さんの銅像靖国神社の大鳥居見物に感激している。
確かに、絵画や音楽などの文化そのものは、他の町がいくら頑張っても質量共に東京に勝るのは大変だ。
そんな環境に恵まれていながら、忙しさにかまけて、知的好奇心を満たす事がない。
何を見ても感激しない江戸っ子30年生は、地方の人達のように、高い旅費や宿泊費を不要なのに、全くその気がないとは、将に人間として職務怠慢の謗りを免れない。