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巨人軍、渡邉対清武の泥仕合のサラリーマン的見方

この手の話は、両方が言った、言わない、あるいは言葉の解釈を巡って、必ず水かけ論になる。
案の定、両方の声明文を読んでも、各々の主張が噛みあっていない。
ただ10月20日、岡崎郁ヘッドコーチ案で合意した事は、渡邉、桃井、清武の三人共に認めている。
推測だが、渡邉はCSシリーズで敗退したのはコーチの責任と思い込み、当初の合意案を反故にすると勝手に決めたようだ。
渡邉は、常に「俺が、俺が」を連発する品のない爺で、巨人の人事などは自分の一存でどうにでもなると、頑なに思い込んでいる節がある。
ただ流石に、この案は唐突な思い付きとの後ろめたさもあったようで、清武には「2~3年後に君を社長にするので、この案を了解しろ」みたいな懐柔策も提案している。

普通なら、親会社の最高権力者の思い付きは、例えアホなアイデアでも、子会社の連中は、全員が畏まって押し戴くものだ。
渡邉は、当然そんな事態を想定していたはずだ。
渡邉の誤算は、清武が「巨人軍のチーム編成はGMの権限」と、まるでガキの様な原則論に拘った事にある。

なんと清武は、読売グループでは前代未聞の記者会見を開き、舌鋒鋭く渡邉を糾弾した。
満を持して、乾坤一擲の勝負に出た清武の会見内容から、どうやら桃井社長とは、
清武「渡邉爺が人事を壟断するのは、誠に困ったものですねェ」
桃井「全くだ。三人で合意した20日の案は何だったのかだよ」
清武「渡邉爺が、勝手に桃井社長交代も決めたのも怪しからんデスヨ」
桃井「そうだよな。あれは僕も頭に来ているんだ」
みたいな会話がなされたのだろうと思われる。
だから清武は、「桃井社長も自分と同じ気持ちだ」と話している。

ところが桃井の方は、清武程には原理原則主義者ではない。
むしろ長いものには巻かれる、権威には弱い典型的な日本型幹部で、渡邉と事を構えるほどの気概も使命感も持っていない。
読売グループ側の人間として、サッサとトカゲのしっぽ切りで、清武を非難している。
哀れ清武は、どこからも応援団が現れず、すっかり蟷螂の斧となってしまった。

しかし渡邉の反論は、全く迫力に欠けている。
「江川とは接触していない」なんて事はあり得ないだろうし、清武にコンプライアンス違反を指摘されると、「単なる巨人軍の人事問題」と言い訳している。
権力者が、社内ルールを勝手に逸脱して人事を変更すれば、刑事事件に発展する事はなくてもコンプライアンス違反なのは間違いない。
本来なら、例え最高責任者であっても、社内管理では当然問題視される。
しかし現実は、そう綺麗事で事態が進む事はない。
多くの茶坊主たちが「流石、社長の人事案は素晴らしい」とゴマをすり、恰も当然のように昔の人事案は葬り去られる。
今回で言えば、「岡崎郁に内示済みだ」と、最初の人事案に拘った清武は、仕事仲間としては信頼できる人物だ。
僕の周りにも同じタイプの先輩がいたが、残念ながら彼らがエラクなる事はなかった。

今回の騒動で、天下の巨人軍のGMにまで出世していた清武は、武骨なまでの正義漢である事が分かった。
個人的には大いに応援したいが、しかしこの手の人物は、自己満足だけで玉砕してしまう可能性が極めて高い。
出来が悪ければゴマのすり方すら分からないが、少々出来がいいと、自分と権力者の距離感を誤ってしまう。
宮仕えは難しいものだ。
ドンキホーテ・清武は、ただ一点、85歳にもなって尚「将来的は身を引き、20歳若い白石君に読売本社と球団とのパイプ役を委ねる」などと、未だに権力の座を手放そうとしない耄碌爺の実態だけは天下に知らしめる事に成功した。
持って瞑すべきだろう。