昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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サラリーマンの酒飲み話

巨人軍、清武GM捨て身の行動には賛否両論があるようだ。
賛成派は、常日頃はひたすら企業社員として、言いたい事を我慢しているサラリーマンが多い。
時の最高権力者に敢然と歯向った清武の姿に己をダブらせ、蜂の一刺しを見舞った「勇気ある」行動と称賛し、溜飲を下げる・
敵役にも恵まれた。
世間の嫌われ者、傲岸不遜な渡邉恒雄なら、相手に不足はない。

反対派は、所詮巨人軍の内輪揉めを殊更に騒ぎ立てた、清武の無分別さを指摘している。
外国人選手が悉く期待外れだったのは、GMとしての清武のスカウティング能力に問題があったので、その責任を取るのは当たり前との意見もあった。
また渡邉と原監督が、清武を無視して直接江川招聘に動いたのも、現場から清武が信頼されていない表れとも批判された。

清武が記者会見までして発表した内容は、我々サラリーマン社会ではよくある話だ。
特に酒の席では、社内の権力者に対して遠慮会釈のない厳しい意見が飛び交う。
    ・○○上司は、ゴマスリだけで偉くなったが、仕事は全くできない。
    ・あんな出来の悪い奴がリーダーなら、いずれ会社は潰れる
    ・人を見る目が無く、自分に媚び諂う子分達だけを信用している。
    ・我々は、思い切って行動に移すべきだ。
将に口角泡を飛ばす勢いで、上司の悪口を並べ立てる。
翌日当事者同士がバッタリ顔を合わせようものなら、間違いなく殴り合いになる。
それほど真剣に会社の将来を憂えた議論が、大声で、且つ延々と繰り返される。
しかしこれは単なるガス抜きの八百長議論であり、誰もが本気で自爆テロを決行する気などない。
翌日は、昨晩の事などまるで忘れ去ったように、笑顔で「おはよう」と出社する。
サラリーマン社会では、毎度繰り返される、微笑ましくも気恥ずかしい風景だ。

その点では、清武の行動は異彩を放つ。
桃井は清武を「大事な同志だった」と表現した。
しかし「自分に相談もなく記者会見したのは、理解に苦しむ」と非難した。
桃井と清武の間で、渡邉の悪口話の華が咲いた事は、恐らくは間違いない。
しかし桃井は、それはあくまで酒飲み話の延長で、まさか清武がそれを公にするなど思ってもいなかったのだろう。
桃井は、渡邉の我儘には手を焼いているが、自ら渡邉排斥に動く心構えがあるわけでもない。

ところがGM職を解かれる事に腹を立てた清武は、桃井が予想だにしなかった、渡邉との刺し違え作戦を実行してしまった。
ここで清武と志を同じくする反渡邉の一員と見られると、権力者渡邉の逆鱗に触れ、全ての役職を解かれる恐れがある。
ここに至ると、桃井は酒飲み話の同志、清武を見捨てるしか生き残る方法がない。

サラリーマン生活40年を超える当方、桃井と清武の記者会見を見て、そんな妄想に駆られてしまう。
しがない勤め人なら、「一度は公然と権力者に逆らってみたい」欲求を抱えている。
しかし大半の人は、それを実行に移す事無く、平穏無事な道を選ぶ。
そんなサラリーマン常識からかけ離れた今回の清武の行動は、事の善悪とは無関係に、やはり現役サラリーマンからは支持されるに違いない。