昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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オリンパス騒動の結末は粉飾決算!

オリンパス旧経営陣が仕出かしたM&A疑惑に関しては、どうせ小悪党が、個人的に懐を潤した程度と思っていたが、実態は思っていたよりも遥かに影響が大きい。
粉飾決算が目的となると、名門企業オリンパス上場廃止になるかもしれないし、その場合株主が蒙る被害だけでなく、国際的には日本企業への信頼も損なわれる。
また旧経営陣のどこまで訴求して刑事責任を問われるかも、問題になってくる。
いかにも被害者然として、旧経営陣の犯罪を発表した高山修一社長だが、記者会見の前日まで全く知らなかったとは信じがたい。
そもそもこの問題が知れ渡ったのは、ウッドフォード前々社長が解任された事に始まる。
ウッドフォード前々社長は、M&Aを巡って旧経営陣の疑惑を追及した事が解任の理由とし、それまでの調査内容を公表した。
これが極めて具体的な内容だったので、既にこの時点でオリンパス側は分が悪かった。

粉飾決算が明らかになった後、ウッドフォード氏は再度記者会見をして、高山社長に送った資料を見れば今回の問題は一目瞭然のはずで、何よりも、訳の分からないケイマン諸島の会社に多額の金が消えている事だけでも、オリンパスがきな臭い疑惑を抱えている事は、子供でも分かると主張している。
全くその通りだろう。
コンプライアンス時代の今日、企業には当然複数のチェック機関がある。
取締役会、監査役監査法人
各々が会社経営監視のプロなら、疑惑キーワードの「ケイマン諸島」だけでも胡散臭さを感じるはずで、そこに巨額の投資がされたと聞いたら、「これはおかしい、絶対に怪しい」と思うのが普通だ。
それを、鸚鵡返しのように「不正はなかった」と繰り返したのだから、罪万死に値する。

オリンパスの菊川の年収は、2億円弱だったらしい。
M&Aに熱意を持った辣腕経営者と、少なくとも社内では思われていたかも知れないが、しかし実態は、やたらと新規案件に飛びつく、山っ気タップリのダボハゼ経営者だったと叩かれている。
年収の多さを強調し、経営能力については、社長時代には何一つ攻撃しないくせに、一旦スキャンダルが起きると、途端に落ちた犬を棒で叩く。
いかにもマスコミらしい報道振りだが、経営者である以上結果責任なので、菊川への同情の余地はない。
オリンパス側の経営者連中が脛に傷を持つ本物のワルなら、粉飾決算などのコンプライアンス違反を隠し通ろうと、あらゆる策を弄するものと思うが、そんな危機意識も見られない。
粉飾決算自体は歴代引き継がれてきたので、殊更悪い事との自覚はなかったようで、ここに至ると、経営者としても社会人としても、常識知らずとしか言えない。

菊川前社長の馬鹿さ加減は、自分の後継者に外国人を選んだ事に現れている。
外国人は自分の責任範囲を特定したがるもので、就任以前のきな臭い部分を徹底的に洗い出すし、皆で悪事を共有しようとする、日本的談合体質はない。
当然、今までの負の遺産は一掃した上で、晴れて自分の手法で経営していこうとするに決まっている。
普通なら、以心伝心、臭い物に蓋の日本人的価値観とは全く違った外国人が社長になると、旧悪を暴露されるかもしれないと不安を持つものだが、何せ危機感ゼロのようだ。
社長就任直後にウッドフォードへの不信感を露わにした、典型的日本人体質の高山社長を最初から後継者に指名していたら、悪事が露呈するのにもっと時間を要しただろう。
しかし、膿を出すのは、早いに越した事はない。
結果的には、不正経営陣総退陣となる今回のドタバタ劇が、オリンパスにとって怪我の功名になれば良いが、こんな経営者に舵取りを委ねた、オリンパスのステークホールダー達が哀れだ。

気をつけないといけないのは、大半の日本の会社は、実はこんな程度の人物で経営されている事だ。
上場企業は3600社もあるらしいので、大会社の経営者だからと言って、決して能力に溢れた素晴らしい人物が経営しているはずがない。
好き嫌いで群れる社内の権力闘争は、経営の本筋からはほど遠いし、社外からの信頼には無関係だ。
会社経営を担っているのは「経営の神様」などではなく、その辺に転がっている、ちょっと気が利いてはいるものの、実はごく普通の出来のオッサンが、流行のノウハウブックに啓発され、妙に張り切って会社をオモチャにしているケースも多いものだ。

会社経営が破綻すると、自分だけでなく家族まで路頭に迷う事になりかねない。
しかし、大王製紙ほどはひどくなくても、オリンパスの経営者と似たり寄ったりの経営者がゴロゴロしていると考えていくべきだ。