昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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セッカチの諌め

生来のセッカチ気質ゆえに、多くの失敗と損失を仕出かしてきた。

いつも何かに、追われているような強迫観念がある。
目的地には、少しでも早く到着したい。
その為には、例えば電車を降りる駅のかなり前から、ドアのところに並んでいる。
ホテルでウェイクアップコールを頼んでも、一時間前には目を覚まし、電話がかかってくるのを今や遅しと待っている。
いつも余裕がないために慌てることが多く、結果として忘れ物で散財したケースも二度や三度ではない。

ドライブでも、前にノロノロした車がいると、追い越さずにはいられない。
黄色信号では、ほぼ間違いなく交差点に入り込む。
多分運が良かったのだろう、その割には無事故、無違反(厳密には無事故、無逮捕)運転が続いているが。
東京、名古屋間で、信号無視ですっ飛ばした車と、キチンと信号を守って走った車で、到着時間がわずかに15分間程度の差しかなかったとのテスト結果を聞いたことがある。
リスクを冒してまで乱暴運転しても、日常生活面でさほどメリットが出るわけでもない。
年を取ってくると今までほど反射神経が俊敏ではないので、そろそろ安全運転最優先にチェンジしなければと思い始めた。

食事も早い。
消化に悪いからゆっくり食べるように躾けられた記憶はあるが、早く食べないとなくなってしまうのではとの貧乏根性から抜け出せない。

仕事は、内容よりも納期優先。
手抜きをしても、締切には間に合わせる。
だから作る書類は、いつも最低限の内容しかなく、且つ雑な仕上がりとなっている。
また報告書は必ず、A4の用紙一枚に、大きめのフォントでつくられている。
文字が少ないから、早く出来上がる。
「不明な点や質問があれば別途説明を」、が基本的スタンスだ。

とにかく、絶対に人を待たせることができない。
待ち合わせ時間には、少なくとも20分前には到着している。
あとはイライラしながら、待ち人を待つ。
この間、自分が勝手に早く到着しているだけなのに、「あいつ、事故にでもあったのでは」とか、「場所を間違えたのでは」とか、誠に余計な心配ばかりしている。
全く損な性格だ。

しかし、忙しいことを自慢しているようでは、魅力的な老人になれるはずがない。
エスカレーターを歩かない。
エレベーターの開閉ボタンを押さない。
横断歩道を、ゆっくり歩く。
夜はできるだけ遅くまで起きていて、朝ゆっくりと起床する。

還暦を遥かに過ぎた年齢なので、年相応に落ち着いた、高倉健張りの渋さを発揮するためには、セッカチの諌めを実行しなければならない。