昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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投票を棄権する

宗教心が薄いので知らなかったが、「懺悔」とは元々仏教用語の「さんげ」であり、「自分の犯した罪悪に気づき、それを神仏や他人に告白し、悔い改めることを誓うこと」らしい。
西洋の教会に行くと「懺悔室」なんてあり、映画「禁じられた遊び」では、子供が自分のいたずらを懺悔するのが重要なシーンなので、キリスト教の言葉と思い込んでいた。
一つ、懺悔でもしてみようかと思っていたことがあった。
過去形で書いているのは、「懺悔」の意味を調べて、すっかりその気がなくなっているからだ。
告白したかったのは、「自ら犯した罪悪」ではない。
むしろ積極的に主張したいことなので、「悔い改める」気もない。

齢60歳をはるかに超えたが、実は一度も選挙で投票したことがない。
選挙権を得た20歳から今まで、あらゆる選挙を全て棄権してきた。
選挙に関心がないわけではない。
むしろ並の人よりも興味津々の方だと思うし、選挙速報なんて、最終結果が出るまでテレビ放送を見ている。
候補者の当落や政党別の当選者数は、殊の外気になる。
それでも自分が選挙に赴いて、一票を投じようと思ったことはない。
父親からは、「選挙権を手に入れるために、命をかけた人もいる。そんな大事な権利を放棄するのは良くない」と、何度も説教されたが、固い信念を持って棄権し続けてきた。
嫁さんを車で投票会場まで送っていっても、自分は投票しなかったこともある。

それは、選挙では何も変わらないと思っているからだ。
毛沢東は「銃口から政権が生まれる」と書いたが、これは一面的には正しい。
共産主義が革命を成し遂げるのは、暴力的手段しかない。
日本共産党武装闘争路線を捨て、選挙で政権をとることを目指したが、党勢は衰退の一途となっている。
僕は日本の共産化を願っているわけではなく、むしろ共産主義日本共産党を忌み嫌っている人間だが、その日本共産党を、選挙で世の中を変えるのは幻想であることを証明した政党だと、皮肉な評価をしている。
別に共産党に限らず、二大政党制が長い先進国でも、選挙で諸問題が解決した例など聞いたことがない。
ごく直近で大騒ぎをしていたアメリカ大統領選挙では民主党オバマが勝ったが、例えロムニーが勝っていても、世界中が大ショックを受けることなどなかったはずだ。

また、この人に投票したいと思った候補者に出会ったことがないことも一因だ。
「こいつは絶対に駄目」と思った候補者は、いっぱいいた。
最近では、菅直人がその代表政治家だ。
もしも僕の一票が菅直人に×をつけて、彼への投票が一つ減るのなら、投票したかもしれない。
しかし今の制度は、そうはなっていない。
あくまで候補者の中から、自分が期待する人を選び出す制度なので、そんな人に巡り会っていない以上、棄権もまた立派な意思表示だと考えてきた。

選挙のたびに、「棄権は大事な権利の放棄」と宣伝される。
また「あなたの一票が世の中を変える」と、積極的に投票を呼びかけられる。
投票を棄権するようなヤカラには、政治を批判する権利がないと、まるで非国民扱いされることもある。
他人様に投票を棄権するように勧めることはないが、しかし何と非難されようと、僕は今の政治に期待はしていないし、今後とも自分の信念を捨て去り一票を投じようと思う政治家が登場するとも思っていない。