昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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おサルのお尻が赤いのも、ミンナ官僚が悪いのヨ!?

選挙が始まったが、相も変わらず候補者の絶叫は無内容だが勇ましい。
とりわけ目立つのが官僚への悪口で、どの政党も「霞ヶ関から権力を取り戻す!」「官僚支配打破!」「政治主導!」を論い、「我が党が政権をとれば、一気に日本が良くなる」とアピールする。
過去の実績を鑑みれば、全党が誇大宣伝で日本広告協会からレッドカードを出されるはずだ。

しかし、こんな子供騙しの与太話が国民受けする。
ことほど左様に、とにかく官僚は評判が悪い。
石原慎太郎橋下徹も、地方自治にとって如何に霞ヶ関の官僚たちが既得権益に拘り、改革の妨げになっているのかを声高に叫んで日本維新の会に結集した。
野合政党「日本維新の会」が唯一合意していた政策は、霞ヶ関から権力を取り戻すことだった。
彼らにとっては、官僚が持つ権力を政治家に取り戻すことが重大な正義となっている。

しかしこれは、どう考えてもおかしい。

彼らは「霞ヶ関の官僚たち」が、あらゆる権益を独り占めにして、自分たちの改革を妨げているし、官僚たちは既得権益を守るためだったら悪の限りを尽くすと言いたいのだろうが、どんなに優れた官僚でも、彼らが実行できる施策は法律や条例の範囲内なのだ。
官僚たちは、それまでに成立している法律の枠内でしか仕事は出来ないし、それ以上の権限は与えられていない。
そうすると「改革のために法律を改定しようとすると、官僚が邪魔をする」と言うが、それは政治家が過去に制定した法律が悪いと天に唾しているに過ぎないし、官僚が法律改定の邪魔をできるものではない。
むしろ政治家が官僚たちを頼りにしないと何も出来ないことを自己暴露しているに過ぎないのだが、国民に向かっては「官僚たちは強欲でけしからん」などと責任転嫁をしている。

何よりも、今のルール下で、官僚たちは私腹を肥やそうとしているのではない。
時代劇では、悪徳商人と組んだ悪代官や木っ端役人が暗躍して、最後に正義の味方が登場して悪漢どもを成敗し、場面を盛り上げる。
政治家は、そんな主人公に自分の姿を重ねているようだが、マスコミの監視が厳しい今日日、そんな分かりやすく単純な構図などありえない。
「給料が高いのに仕事をしない」のは木端役人のイメージでしかなく、基本的に官僚たちは、ひたすら国家のために粉骨砕身、夜も遅くまで仕事をしているものだ。
それなのに政治家の無能さの隠れ蓑に使われ、果ては諸悪の根源と実力以上の悪役に仕立てられてしまうのでは、最難関の試験を受かってまで務めてきた官僚も報われない。

例えば、最近の消費税率アップを考えて見れば分かりやすい。
総理大臣野田佳彦は、民主党分裂、果てはおそらく政権の座から転げ落ちることを覚悟した上で、自民党公明党を巻き込んで消費税率アップを決めた。
賛否は分かれるが、政治家野田佳彦の信念に基づいた行動であることは間違いない。
ところが世間からは、「霞ヶ関に取り込まれた」とか「財務省の言いなり」とか、野田佳彦は官僚が描いたシナリオ通りに動いた操り人形と悪口を言われる。
では消費税率をアップすることは、財務省にとってだけ都合がいいことなのだろうか。
常識的に考えて、財務省リードで消費税率アップが決まったとしても、それは今のままでは国家財政が破綻するからであろう。
姑息な政治家ほど、「消費税率アップの前に身を切る改革が必要」とか言って、議員定足数削減とか、公務員給料カットとか、「我れこそ庶民の味方」を装う。
が、敢えて言えば、そもそもそんな瑣末な政策が消費税論議に持ち出されることがおかしい。
財源のバランスが違いすぎるのだ。

誰だって税金は納めたくない。
我々サラリーマンは源泉徴収されているので誤魔化しようがないが、自由業の連中はなんだかんだと理由付けして必死に納税額を減らそうとしている。
これを節税と言うか、脱税と言うか、かなり微妙だ。
ただ税収が不足しているのはどうしようもない事実で、だからと言って国債発行の借金を重ねるわけにはいかない。
しかしこれ以上直接税を増やせば、産業活動が停滞して減益となり、更に税金が減ってしまう。
モノを買えば公平に課税される消費税は、政府にとっては確実な財源として魅力がある。
別段「現代の伏魔殿」と評判が悪い財務省ではなくても、消費税率を上げたいと考えるのはごく普通の発想だ。

それを、何か気に入らない政策が打ち出されると、すぐに後ろで官僚が画策したと言うのは、あまりにも単純だし、そんなことをさも正論のように吹聴する、自称評論家や落ちこぼれ官僚のような輩を信用してはいけない。
出来の悪い、お粗末政治家たちは掃いて捨てるほどいる。
そんな連中が政治主導など仕出かしたら、日本は間違いなく破滅への道を一直線に進む。
民主党への政権交代は、そんな悪夢を現実にしたものだ。
今の政治家連中よりも遥かに偏差値の高い官僚たちに、日本国の運営を任せた方が絶対に安心のはずだ。
官僚への悪口は、単なる欲求不満の解消にしかならない。