昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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刑事被告人だった人

秋のゴルフシーズンを迎え顧客とのゴルフが多く設営されたので、ホームコースはすっかりご簿沙汰。
ところが初めてのコースでは、スコアも思うに任せない。
一方仕事の方では、年寄りサラリーマンには、昔ほど体を動かすことが要求されない。
年休は腐るほど残っている。
そこで12月5日、平日に会社をズル休みして、ゴルフに出かけた。

たまたま当日、ホームコースで平日の月例が開催されていた。
従来の平日月例メンバーは大半の平日会員だったので不成立も多かったようだが、最近はリタイアした正会員が大挙して押しかけている。
すっかり雰囲気も変わり、通常月例のオープン戦みたいな扱いだ。
ギリギリで申込みが間に合ったので、当方も初参加してみた。
同伴は、Zさん親子とのスリーサムプレイ。
初めてご一緒する正会員のメンバーさんだ。

そしてこの親父さんの方、数年前にある企業犯罪の首謀者として、連日マスコミをにぎわしていた人物だ。
現在はその時の責任を取って、会社を退いて隠居生活らしい。
記者とワイドショーのレポーターに追い回され、取り囲まれ、矢継ぎ早に質問、詰問のマイクを突き付けられて、「じゃあかしい」と悪態をつくシーンが繰り返し放送されていた。
画面を通じてのイメージは傲岸不遜、当時は悪徳商人の代表みたいに扱われていた。

ところが実際に会ってみると実に物腰が穏やで、物言いも丁寧、マスコミが作り出したイメージとの違いに、却って面食らってしまう。
確かに、こっちの都合を一切無視してうるさく付きまとい、あたかも正義の味方のよう振る舞いで口汚く非難されたら、いくら被疑者扱いされている身とは言え、思わず怒鳴り返したくもなるだろう。
そしてそのシーンを繰り返し放送されると、あたかも何か後ろめたいから、まともに質問に答えようとしないように映ってしまう。

息子さんの方は、細やかに親父さんの面倒を見る。
競技なので、ルールを厳格に適用するとペナルティものかもしれないが、仄々とした雰囲気に免じて大目に見ることにした。
大変仲の良い親子なので、「いつもご一緒にプレイされるのですか?」と聞くと、「息子は仕事があるが、たまに私に付き合ってくれます」と嬉しそうだった。
こんなに素晴らしい親子関係の人が、悪人であるはずがない。

恐らくは、会社で連綿と続いていた悪弊が、この親父さんの代で表面化したものだろう。
ノウハウブックでは、そんな暗部に気が付いた時点で、すぐにディスクローズするのが正しい対処法と書いてあるが、実際は様々なしがらみの中でなかなか踏ん切りがつかない。
そうこうしているうちに、マスコミに嗅ぎつけられ、追い回される。
この後は悪循環で、やることなすこと、すべて後手後手になってしまい、挙句の果てが司直の追及を受けることになったのだろう。
将に善人そのもののこの親父さんを見ていると、そんな気がした。

無論、こちらも初対面でもあり、その手の話題は一切持ち出さない。
ゴルフ談義や、息子さんとの親子の会話を聞いて茶々を入れたりしながら、楽しい一日を過ごすことができた。
結果としてこの日のラウンドは、ハンディ込みの1オーバーで優勝……………

だったのだが、三か月間で月例参加の実績がないので無資格。
単なる参考記録で終わった。
でも、そんなのどうでもいい………
一時期刑事被告人で世間から後ろ指を指されていた親父さんが、実は大変な紳士だったことが分かっただけでも、間違いなく人と世間を見る目が広がった。
会社を休んだ甲斐があったものだ。