昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

インフレ政策について

個人的に親しい(?)ので、敢えて時の総理大臣を、安倍チャンと呼ぶ。
参照)http://blogs.yahoo.co.jp/saraam_s/63263513.html

首相に返り咲いた、安部チャンの評判が悪くない。
とりわけ、デフレからの脱却を謳った経済政策の所為で、円は一気に10円ほども安くなり、株はダウ平均が1万円を遥かに上回り11千円を伺う。
何一つ、具体的な政策を実施したわけではない。
言ってみればリップサービスだけなのだが、「日銀は怪しからん!」と声高に叫ぶと、官僚大嫌いの日本人の琴線に触れる。
こんなことで少しでも日本経済が良くなれば、まことに安い投資で高いリターンを得たことになる。
経済通を自認する、安倍チャンの面目躍如だ。

先だって、何かとテレビ出演の多い評論家、伊藤洋一の講演を聞いたが、彼は政権に復帰した安部チャンと自民党は、民主党の失敗に学び、決して舞い上がることなく、顎を引き締めた政権運営に終始しているので、次回の参議院選挙でも勝利すること間違いなしと予想していた。
また昨今の円安で、第一に収益が改善されるのは自動車産業、とりわけ「世界のトヨタ」であり、今後のトヨタ株は急激に50%以上アップして6千円台になると予想していた。

自民党参議院選挙結果も、トヨタの株価も、いずれもそうなりそうな勢いだ。
しかし伊藤洋一は触れなかったが、トヨタが大幅に利益を上げても、それが周辺に波及するのには、かなりの時間を要する。
国民はその間を、不満を漏らさずに待ってくれないのが、実は一番悩ましいところなのだ。
円安の恩恵を受けるのは、間違いなく輸出に依存している大企業だ。
その収益改善額は半端ではない。
しかし一般庶民はといえば、円安になれば物価が上がり、生活は苦しくなる。
肝心の給料が上がるのは、早くて2014年だし、それも約束されたものではない。

安倍チャンが鳴り物入りで実行しようとしている「インフレターゲット2%」も、過去にインフレをコントロールできた国などないので、物価だけがドンドン上がっていく事態も決して杞憂ではない。
そうなると、しばらく後に幸いにして給料が上がっても、そのときには物価が更にアップしているので、庶民感情では生活が苦しくなる一方になってしまう。
ましてや年金生活者にとっては、生活必需品の値上りが家計を直撃し、絶対に不満を募らせる。
一部の大企業とその周辺だけが高収益なのに、自分たちの生活はちっとも良くならない。

日経新聞論説委員が署名記事で、インフレターゲットを批判する人たちは、インフレによって給料が上がり、雇用が確保されるという経済の常識が分かっていないと、逆批判していた。
しかし先に述べたように、例え給料があがっても、また雇用が拡大しても、それには必ず時差が伴う。
またそれがインフレ効果は経済の常識と言うが、過去のインフレ政策では、世の中が一時的に良くなっても最終的には格差が拡大し、時流に乗り損ねた階層の不満が蓄積されてきたのもまた経済の常識だ。
人間は、隣に大儲けしている連中がいるのに、自分の生活が苦しいのは我慢できないのだ。
一時的には人気を博しても、安倍チャンの推し進めたインフレ路線は、いずれ世間の袋叩きに会い、民意と称した選挙でボロ負けし、最終的には安倍チャン内閣は退陣せざるを得なくなってしまう。

それが分かっていても、企業には拡大路線での生き残りが分かりやすい。
早速にも製品値上げで収益を改善したいので、安倍チャンのインフレ政策を支持する。
庶民もまた、インフレの先には雇用拡大と給料アップのバラ色の未来があるかも知れないと、性懲りもなく夢を見ている。
10年前には、「インフレこそ暮らしを悪化させる諸悪の根源、何としてもインフレを阻止しなければ」と、官民上げて壮絶な金利引下げをやってきたのに、今度は「デフレから抜け出して、とにかくインフレにしないと駄目」と180度違う政策が正義のように言われる。

実は、そんなことはないのだ。
インフレになった方が、利益を得る人が半分。
しかし、デフレの方が住みやすい人も半分いる。
どっちになっても、不平不満が沸き上がる。
それを理解して、国民が自分に不利でも我慢するだけの覚悟がないと、せっかくの安倍チャンの政権も、精々二、三年でお払い箱になってしまう。
ただ個人的で無責任な良そうだが、今回のアベノミックスでは、物価だけは上がるだろうが、給料が上がる気がしない。
参議院選挙までは化けの皮が剥げないが、その後はマスコミこぞってインフレ批判が蔓延すると思っている。