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アスペルガー症候群

知人が「孫はアスペルガー症候群だ」と言う。
うつ病の一種かと調べたら、「知的障害のない自閉症」として扱われることが多いようだ。
この病気は、1944年にオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーが「自閉的精神病質」と発表したもので、「社会性の欠如」「コミュニケーション能力の欠如」「想像性の欠如」の障害が具体例らしい。
対人関係が苦手で、付き合い難い孤立勝ちの子供に多い病気のようだが、自閉症の一種となると穏やかではない。
さぞかし悩んでいると思いきや、しかし知人には全くネガティブな雰囲気はない。
それどころか、何となく胸を張って誇らしげにさえ見える。

様々な著名人が、この病気だったと言われている。
歴史的には、織田信長坂本竜馬ケネディアインシュタイン、ベートーベン、ピカソゴッホなど、物凄い人たちが疑われている。
また最近の著名人では、スポーツ界ではイチロー、芸能人はほぼ全員と言いたいほどだが、お騒がせタレントの沢尻エリカまで疑われている。
この病気の定義もなかったころの偉人たちまで列挙されているので、いわゆる「変わり者」は全員、アスペルガー症候群だったと見ているようだ。
つまりアスペルガー症候群は、能力が高く、他人に媚びずに、偉業を成し遂げた人の代名詞とも扱われている。

事ここに至ると、知人の発言も、きちんとした診察の結果、孫がアスペルガー症候群と認定されたのかも疑わしく、何となく自慢話にも聞こえる。
実のところは、「天才連中と同様に、私の孫は、人付き合いは下手だが、その分才能に満ち溢れている」と、言いたいのではないか。
知人だけでなく、案の定、「自称アスペルガー患者」までいるらしい。

ネットで調べたアスペルガー症候群は、
長所
• 興味のある事項には徹底的に精通している(鉄道、車、アニメ、ゲームなど)
• 誠実でまじめ。決められたルールを守ったり、友達を裏切らない
• 手順の決まっている作業には、集中して取り組める
• 知識欲が旺盛で努力家。それゆえ、知識量が人並み外れていることが多い
• 暗記が得意。無意味な数字や番号などを簡単に記憶できる
• 抜群の集中力とこだわりを、特定の分野で発揮できる
• 一度やり方を身につけたら、正確かつ丁寧に作業する
• パン製造で、グラム単位での成形を正確に出来る事例も(札幌市発達障害者雇用マニュアル)
• 視覚での認知が得意(フローチャート・グラフ化等)
• 感覚を必要とする場面で、微妙な区別を出来たりする(音や味の区別)
短所
• 言葉で表現するのが苦手なため、言動が誤解されやすい
• コミュニケーションがドッジボールのようになりやすい
自閉傾向が強い症例では、日常的に独り言をぶつぶつ言ってしまう
• 不器用で無表情
• こだわりの強さで周囲との衝突を引き起こしたりする
• 感覚過敏で日常生活に支障をきたす事もある
• 社会での暗黙のルールがわからない。周りの空気を気にしない。
• 皮肉や社交辞令が理解できずに、額面通りに受け取ってしまう。
• 興味対象が著しく狭く、興味の無い分野には集中しようとしない
• 応用が苦手
• 作業を中断されるとパニックになってしまう
統合失調症と誤診される場合が多い
• 2つ同時に何かをすることが出来ない
と、プラス面、マイナスの両面がある。
しかし、この長所も短所も、見方によっては仕事が出来る人に典型的な現象でもある。

普通の人物は、傑出した実績など残せないもので、元々歴史に名を残すような偉人たちは、普通の物差しに掛からないような突出したキャラクターの人物が多い。
だからこそ、ほとんどの歴史的偉人には、アスペルガー症候群患者のような振る舞いが、伝説として多数語られてきたのだろう。

一般的には、病気には暗いイメージが付きまとう。
増してや心の病気は、患者やその家族は、他人に知られることを忌み嫌い、恐れる。
精神科に通院することも隠そうとするのは、未だ世間に差別や偏見が多いからだろう。
実際に「気違い」は差別用語で使用禁止、パソコンの変換機能でもでてこない。
しかしアスペルガー症候群は、ちょっと変わり者だが、その分能力は秀でているとのイメージがあるので、敢えてそうでない人まで自称している。

今までは隠そうとしていた病気を、そうでもない人がさも自慢気に「我こそアスペルガー症候群の患者」と言い募るとは、これもまた新しい価値観だろうし、それが心の病のイメージを変えるのなら、アスペルガー症候群の見えざる効果、功績とも思われる。