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内川のポカよりも山本の責任が重い

日本のWBCが終わった。
予てより優勝は無理と予測されていたし、予選リーグ突破すら不安視する向きもあったくらいだから、準決勝まで行ったら上出来。
そう思う日本人が多いようで、帰国後の記者会見でも厳しい追及はなかった。

そもそもWBCを「ベースボールの世界一決定戦」などと位置付けるのがおかしい。
日本では過去の二連覇をさも大変な偉業のように喧伝するが、ベーボールの本家、アメリカでは、あくまで大リーグのオープン戦扱いだ。
その証拠に、日本人大リーガーはこぞって出場を辞退した。
日本人大リーガーにとって最高の晴舞台はワールドシリーズなのであり、彼らにとってはWBCなんて大して価値のある戦いではない。
日本ではそれを「純国産」とかの美辞麗句でごまかしているにすぎない。
マァそうは言っても、やれキューバに完敗だの、台湾には奇跡の逆転だの結構面白い試合があった。
また、4月から本格的シーズンイン直前なのに、日本の名誉のためにほとんど手弁当で頑張った侍ジャパンの連中は、それなりに賞賛されて然るべきだ。
テレビでは「侍ジャパン。ありがとう」と定番のインタビューが横行していたのも、その表れだ。

そこで、運命の準決勝。
僕はその日、そば屋のラジオ放送で実況中継を聞いていた。
そして正直な感想を言えば、プエルトリコに1点を先取されたた時点で、とても勝てる気がしなかった。
3対0になった時点で、最早勝負ありと覚悟した。
しかし、世間一般の見方は違う。
日本が8回に一点を返し、更にランナーが二人残ったら、あたかも同点間違いなしみたいな雰囲気の放送が繰り返された。
そこで内川の走塁ミスの大ポカが起きてしまい、反撃気運が一瞬にしてしぼみ敗退した。
後日の専門家の解説でも、やはり戦犯として、前の二塁ランナーの動向を全く無視して、ひたすら二塁盗塁に猛進した内川の注意不足を挙げている。
また、打者が四番の阿部だったので、あそこでダブルスチールを仕掛ける必要はないとの指摘もあった。

僕は、それはそうかもしれないが、もっと単純に、プエルトリコの実力が上だったのが日本の敗因と思っている。
あの場面で、例えダブルスチールが成功したとしても、それまで全くタイミングが合っていなかった阿部がタイムリーヒットを打てる確率は低い。
万一出会い頭でヒットを打てても、せいぜい同点どまり、逆転まで行ける力は日本にはなかった。
感性の野球ド素人評論家、僕の見立てはそうだ。

それよりも、もっと根本の敗因がある。
それは侍ジャパンの監督に、山本浩二しかいなかったことだ。
山本はあの場面で「ダブルスチールに行ってもいいぞ」のサインを出したと言っている。
そして帰国後、あのサインは間違っていなかったと言い訳した。
しかし野球でもビジネスでも同じだが、緊迫した場面で「やってもいいぞ」なる指示はあり得ない。
いかなる場面でも、「責任は俺にあるから、ヤレ!」か「ヤルナ!」と、方針を明確にしないと現場は混乱する。
ましてやあの時は。指示を受ける対象が二人いる。
お互いの意思確認が難しい状況下で、「お前たちの判断で、行けると思えばヤレ!」と丸投げされたら、一方は状況を見極めようとするし、一方を猪突猛進、ひたすら次の塁を目指してしまう。

経営の指南書には、間違いなく「最悪の指示」と書かれてしまう失敗マネジメントの典型例だが、実はそんな監督しかいなかった。
もっとマシな監督は、シーズン直前で自分のチームの戦力整備に忙しい。
こんな時期に、一応日本代表を名乗る侍ジャパンの監督を引き受けることが出来るのは、基本的には暇な野球解説者しか残っていない。
それが、日本プロ野球の実態なのだ。

内川は涙を流して、自分のポカを責めた。、
しかし内川は一平卒、敗戦の責任を背負い込む必要などない。
責任を取るのは常にトップ、それが組織の掟だ。