昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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町の騒音

静かな生活を送りたいと思うと、町中に騒音が溢れている事に気が付く。

最近、自宅でオペラDVDを視聴する機会が多い。
オペラ歌手は、あらゆる楽器を上回るほどの精密機械で、これほど微妙で精緻な音を奏でるモノは世の中に存在しない。
彼らが歌い上げる音楽は、彼らが一音、一音に命を懸けている事が伝わってくる。
それだけに、彼らが見事に歌い上げた後は、自然と立ち上がって拍手したくなるものだ。

流石に、家でDVDを見ていて立ち上がる事まではないが、世界的に著名なオペラ歌手の歌声を聴くと、やはり感激する。
そのオペラで、「愛の妙薬」を視聴した。
ドニゼッティ作曲の喜劇オペラで、僕のような初心者にも分かり易い。
そこで先般、ゲオルギュー、アラーニャ夫婦共演のDVDを、ネットで購入した。
名盤と噂が高いものだが、一か所、アラーニャの音程がおかしい場面があった。

そこで続いて、今度はネトレプコ、ビリャソンのDVD「愛の妙薬」と聞き比べてみた。
こんな風流な事が出来るのが、ホームオペラファンの楽しみだし、特権だ。

両方とも大変な熱演が続き、各々に特徴があり、どちらかがより優れているような性質のものではない。
敢えて好き嫌いを言うなら、突っ張った声のアラーニャよりも、ビリャソンの肌理の細かさが溢れる歌い方に魅かれるものがあった。
主役女性の聞き比べでは、繊細な歌い方のゲオルギューと、朗らかさを感じさせ、田舎のオシャレ娘を感じさせるネトレプコは、両方ともブラボー!

しかし、最大の聞かせどころ、主人公ネモリーノの「人知れぬ涙」の場面で、マイクで灯油販売の騒音が入った。
また生協の移動販売を知らせる放送も、無関係の人間にはうるさい騒音としか聞こえない。
平日の午前中に、家庭でラブロマンスのオペラを聞いているなど想定外なのだろう。
また例え知っていても、商売優先で、オペラ鑑賞なんて知っちゃいないのだろう。

改めて、朝から町中、騒音だらけだと気が付く。
本当に静寂になるのは、深更に及んだ時だが、そんな時はこっちも寝ている。
自分もまた、騒音の源になっている。
静かさって、そうは簡単に手に入らない、とっても贅沢なモノだ。