昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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グッ・タイミング

妻が結石を発症して、一か月が経過した。
この間、緊急で病院に行ったのが三回、二度の手術と入院に見舞われた。
昨日やっと退院し、九割型治療も終わったので安心したが、それまでは比較的平穏無事に来ていたので、それなりに緊張した一か月だった。
 
全身麻酔の手術を二度も経験した妻も、改めて病院通いと療養生活の大変さを痛感しているようで、しみじみと「アナタが仕事を辞めていてよかった」と述懐する。
昨年リタイアして以降、まるで穀潰し状態の夫へのキツイ皮肉の可能性もなくはないが、ここは本音を吐露したものと、額面通りの好意的な感想ととらえておこう。
 
確かに病気を抱えたオンナ手ひとつでは、度重なる検診と治療での通院だけでなく、日常の買い物や家事をこなしていくのは、何かと不自由だし大変不安だろう。
そんな時に、将に苦力(クーリー)であり、下僕、小間使いの役割を担うオトコがいると、便利なもモノだろう。
 
僕はリタイア直後には、「絶対に買い物には付き合わない!」と断言していた。
嫁さんの後ろを、濡れ落ち葉か下駄の雪のようにくっついて歩くオヤジの姿が、全く持ってみすぼらしく見えたからだ。
しかしそれなのに今や、妻の指図に従って、買い物かごにあれこれと品物を入れ、キャッシャーで代金精算した後は、買い物袋に放り込み、車まで運ぶ羽目となった。
当然、往復の運転も、下僕である僕の担当となるだけでなく、帰宅した後も、全ての品物を冷蔵庫前まで運ばないといけない。
妻が入院している時なんて、朝から病室に詰め、飲み水を補給したり、体を拭いたり、愚にもつかない世間話で退屈しのぎをしたりで、甲斐甲斐しい事この上ない。
家に戻ると、洗濯、風呂掃除、なんでもござれの活躍だった。
 
冷静に考えれば、もしも仕事をしていたら、こんなに献身的な妻のサポートは出来なかっただろう。
計ったわけではないが、リタイアは怪我の功名だったとも言える。
しかし更に分析すると、これは神様の思し召しなのではないだろうかとも思う。
 
僕だけが、馬齢を重ねている訳ではない。
同じペースで、連れ合いもまた歳をとっている。
ならば、体が弱ってくるのも、ガタがくるのも似たようなタイミングになる。
 
「キミ、キミ、この歳になると、仕事なんかやっている暇はないノヨ。サッサとリタイアして連れ合いの面倒を見なさい」
 
僕が深く帰依する「苦しい時は、必ず役立ってくれる神様」は、きっとこんな事を考えているのではないだろうか。
グッ・タイミング!
不幸も試練も、考え方次第で、前向きになれるものだ。