この二人、いずれもリオ・オリンピックで四連覇を目指したが、結果は明暗が分かれた。
一方の吉田沙保里は、金メダルを逃した後に泣きじゃくった姿に賛否両論だ。
あの時の松田聖子は、「ウソ泣き聖子」と大バッシングを浴びた。
さすがに吉田沙保里に対しては同情の方が圧倒的に多かったが、それでも一部では眉を顰める人もいたようだ。
この二人は、今までの成績で同じような結果を残しているのに、オリンピック前までは扱いに格段の差があった。
二人は去年まで、同じALSOK社員だったが、その企業コマソンでも、センターは必ず吉田沙保里。
リオ・オリンピックでは、伊調馨は決勝戦の最後の数秒で逆転する劇的な勝利だったのに、翌日銀メダルに終わった吉田沙保里を慰めるアナウンサーが「三連覇だって前人未到の大記録ですから」などと、まるで頓珍漢の放送をしていた。
オイオイ、伊調馨は前日に、既に四連覇を達成しているよ!
思わずテレビに向かって、そう突っ込んだほどだ。
これは一体何だろう。
実は、人気と成績が必ずも一致するものではないような不公平な扱いは、ママ発生する。
顔もハンサム、人気も実績もナンバーワン、「史上最高のQB」と言われた大選手だったが、故障の後だんだん力が衰え、控えのQBだったスティーブ・ヤングに取って変わられた。
結局モンタナは他チームに移籍したが、ヤングはファンから「モンタナを追い出したオトコ」と思われ、いくら前任者のモンタナに勝るとも劣らない成績を上げても、サッパリ人気が出なかった。
日本のプロ野球も、「人気のセ、実力のパ」などと言われる。
しかし、「霊長類最強のオトコ」とまで称賛されたロシアのアレクサンドル・カレリンですらできなかったオリンピック四連覇を達成した伊調馨に対して、海外の評価は極めて高い。
オリンピックの閉会式では、伊調馨をひな壇にあげて、その偉業を祝っていた。
例え今回が銀メダルの終わっても、彼女の功績や人間性への称賛は当たり前だ。
吉田沙保里が泣きじゃくったことに文句を言った人でも、あの時の彼女の発言の真意を疑う人はいないだろう。
決してカッコ良い振付ではないし、彼女の踊りもパッとしたものではない。
しかし今後は、人気も実力もトップ選手の地位を守り続けてほしい。