昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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伊調馨と吉田沙保里

この二人、いずれもリオ・オリンピックで四連覇を目指したが、結果は明暗が分かれた。
金メダルの伊調馨は、今や、国民栄誉賞受賞も噂されている。
一方の吉田沙保里は、金メダルを逃した後に泣きじゃくった姿に賛否両論だ。


吉田沙保里は泣きながら謝罪を繰り返したが、その姿が1980年歌謡大賞最優秀新人賞を受賞した松田聖子を彷彿とさせた。
あの時の松田聖子は、「ウソ泣き聖子」と大バッシングを浴びた。
さすがに吉田沙保里に対しては同情の方が圧倒的に多かったが、それでも一部では眉を顰める人もいたようだ。
 
この二人は、今までの成績で同じような結果を残しているのに、オリンピック前までは扱いに格段の差があった。
二人は去年まで、同じALSOK社員だったが、その企業コマソンでも、センターは必ず吉田沙保里
伊調馨は、吉田沙保里の脇で歌うサブの役割だった。
吉田沙保里の四連覇は、国民、国家を挙げての関心事だったが、同じ大記録を目指しているのに、伊調馨の方は大した注目でもなかった。
リオ・オリンピックでは、伊調馨は決勝戦の最後の数秒で逆転する劇的な勝利だったのに、翌日銀メダルに終わった吉田沙保里を慰めるアナウンサーが「三連覇だって前人未到の大記録ですから」などと、まるで頓珍漢の放送をしていた。
 
オイオイ、伊調馨は前日に、既に四連覇を達成しているよ!
思わずテレビに向かって、そう突っ込んだほどだ。
 
これは一体何だろう。
実は、人気と成績が必ずも一致するものではないような不公平な扱いは、ママ発生する。
一昔前のNFL(プロ・アメリカンフットボール)で、サンフランシスコ49ers.ジョー・モンタナと言う名QBがいた。
顔もハンサム、人気も実績もナンバーワン、「史上最高のQB」と言われた大選手だったが、故障の後だんだん力が衰え、控えのQBだったスティーブ・ヤングに取って変わられた。
結局モンタナは他チームに移籍したが、ヤングはファンから「モンタナを追い出したオトコ」と思われ、いくら前任者のモンタナに勝るとも劣らない成績を上げても、サッパリ人気が出なかった。
日本のプロ野球も、「人気のセ、実力のパ」などと言われる。
少し古い話だが、北の湖は強すぎて嫌われ者になり、人気面では輪島や千代の富士の後塵を拝した。
 
今回の伊調馨も、自分の快挙よりも吉田沙保里が負けたことを大きく扱われるこのには、さぞや悔しい想いもあっただろう。
しかし、「霊長類最強のオトコ」とまで称賛されたロシアのアレクサンドル・カレリンですらできなかったオリンピック四連覇を達成した伊調馨に対して、海外の評価は極めて高い。
オリンピックの閉会式では、伊調馨をひな壇にあげて、その偉業を祝っていた。
 
吉田沙保里は、オリンピック三連覇が誇るべき成果だけでなく、主将としてチーム日本をまとめ、後輩への適切なアドバイスで彼女たちのメダル獲得に大いに貢献したと聞く。
例え今回が銀メダルの終わっても、彼女の功績や人間性への称賛は当たり前だ。
吉田沙保里が泣きじゃくったことに文句を言った人でも、あの時の彼女の発言の真意を疑う人はいないだろう。
 
しかしその吉田沙保里やアレキサンドル・カレリンですらできなかったオリンピック四連覇を達成した伊調馨は、充分に国民栄誉賞に値すると思う。
吉田沙保里が退社した後、ALSOKコマソンのセンターは伊調馨に変わった。
決してカッコ良い振付ではないし、彼女の踊りもパッとしたものではない。
しかし今後は、人気も実力もトップ選手の地位を守り続けてほしい。