昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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夫婦喧嘩は犬も食わない

昨日無事に帰国。
三週間のヨーロッパ滞在は、初めて経験する長旅だった。
気の置けない友人からは、「よくもそんなに長い間、嫁さんと二人だけで生活できるものだ」と、半ば以上大呆れされ、ほんの少々感心される。
彼らに言わせると、夫婦二人きりになると、お互いの我がぶつかり合うので、100%間違いなく喧嘩になるらしい。

僕としても、思い当たる節は多々ある。
今までかなりの回数、海外への夫婦旅を重ねてきた。
大半が一週間ほどの日程だったが、ほぼ例外なく、旅の途中で一度や二度は喧嘩している。
振り返って喧嘩の原因を探れば、実に些細なことばかりだ。
我が家の場合、アングロサクソン系に一部ゲルマンの血が混じったような顔立ちと考え方の僕は、旅そのものに意味があるので、旅先ではホテルでゆっくり寛ぎたいタイプ。
一方の妻は、顔立ちも考え方も典型的なモンゴリアン系日本人タイプなので、「せっかく来たからには、あっちにも行きたい、ここにも行きたい」と、目一杯にスケジュールを詰め込みたがる。
旅行社や農協の、訪問先がビッシリと立て込んだ弾丸ツアーには批判的で、自分で全ての計画を立てたがる妻だが、考えていることはほぼ似たり寄ったりなのだ。
拠って、「あそこに行こう」と計画する妻に対して、「面倒臭いから止めよう」と言う僕が、旅先で衝突する事態となる。

旅先の食事も、トラブルの原因になりやすい。
ここでも「せっかく来たのだから、少々値段が高くても現地で有名なものを食べたい」派の妻と、「食べ物は日本が一番なので、こんな所まで来て高くて不味いモノなど御免蒙りたい」派の僕が鬩ぎ合う。
また妥協の結果、片一方の主張が通った後も、決して油断ができない。
先ず妻側が勝利した時は、「本当に美味しいわね」と自分の正当性を大袈裟に確認したがる妻に対して、「こんなの、ちっとも美味くない」みたいな態度の僕の間に、一触即発の暗雲が漂う。
僕の主張が通った場合は、妻側は「あそこの食事を楽しみにしていたのに、貴方の所為で...」モード満載になり、不穏な雰囲気になる。

しかし何度か同じようなことが発生すると、アチコチ行きたがらないのも、美味い食べ物を食べに行かないのも、理屈はあれこれ捏ねていても、結局は僕がケチ根性だけで頑張っているのがバレてしまう。
そうすると、「せっかくの旅行が楽しくなくなった」とフテクセられる。
これは恐ろしいし、将来に亘って大変困ってしまう。
また一旦喧嘩をすると、旅先では他に仲間がいるわけではなく二人きりなので、その後仲直りするまではお互いに気まずい思いで旅を続けることになる。
これは、大変居心地が悪い。

今回の旅は、今までに無い長丁場。
そんなこんなで、今回は喧嘩無し旅行を実現してみようと思い至り、旅の初日に「旅の間中、喧嘩をしない」と妻に対して宣言した。
彼女にとっても、「渡りに橋」?......「渡りに舟」よりも、更に便利で有難い。
双方の利害一致で、簡単そうだけど、未だ成し遂げていない目標へ向かっての旅の門出となった。

しかしこれは、言うは安く、行うは難し。
喧嘩は自分の言い分を通す為にエネルギーを使うが、喧嘩をしないためには、お互いが自己犠牲精神を持ち続けなければならない。

そしてその三週間の旅が、昨日を以って終わった。
その総括は、先ずは喧嘩をしない旅は、シッカリと達成できた。
何度かピンチがあった。
しかしその度に、「そうだ、今回は喧嘩ご法度!」と言い聞かせ、笑顔で会話を継続するように努めた。
無論、僕だけが我慢したのではない。
妻側も同じで、彼女に言わせれば、「耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだ」部分があるようだ。
しかし何はともあれ、今回の旅の最大目標を達成したのは間違いない。
その結果、リタイアを契機とした、夫婦人生やり直し記念旅行が、良いも悪いもハプニング連続の、思い出タップリの旅となった。

妻に、「こんな簡単なことを、何故今まで思いつかなかったのだろう?」と聞くと、「仕事中は駄目だった。でも仕事を辞めて、貴方に精神的余裕が出来た所為」だと答える。
今までの喧嘩の原因が、一方的に僕の方にあるような言い草は気に入らないが、喧嘩なんぞはしない方が良いに決まっている。
旅で出来たのだから、次は今後の人生ででも.............
そんなに都合よくは行かないだろうが、トライしてみる価値はある。