沖縄で、女性が米軍関係者に殺された。
犯人は元米兵で、犯行からは異常性欲者を思わせるが、日本人女性と結婚して、子供までいるらしい。
殺された女性には何の罪もなく、極めて悲惨な事件だ。
僕は常日頃は、沖縄の翁長雄志知事には批判的だ。
しかし、こんな事件が米軍関係者の手で発生するのなら、翁長が主張している「日米地位協定の見直し」が必要と思う。
しかしそれでも、不良アメリカ人と沖縄基地を一緒くたにして、「米軍は沖縄から出ていけ」と喚くのには違和感が強い。
沖縄の基地反対派には、大きく二種類がいる。
一つは、沖縄に大規模米軍基地があるために、様々なマイナスがあると主張する人たちだ。
今回の女性殺人事件などがその典型で、基地さえなければ犯罪もなくなると考えている。
こちらの方は、話し合いの余地がある。
確かに沖縄の基地は、広大な一等地を接収されているマイナス面もあるが、一方経済的には沖縄に利益ももたらしている。
プラスとマイナスを、冷静に検討して話し合えばよい。
もう一方は、思想面からのアンチアメリカ的反対運動で、沖縄以外の連中も大挙して押しかけ、基地周辺で撤去運動を繰り返している。
こちらはイデオロギーの問題なので、いくら話し合っても接点はない。
沖縄に基地が必要と思っている人たちは、中国や北朝鮮の脅威を訴える。
一方、基地撤去を主張する人たちは、沖縄の基地こそ中国を刺激し、平和が遠のくと考える。
民主主義の世の中では、結局のところ選挙で決着をつけざるを得ないが、選挙の場合、沖縄だけが争点になるわけではないので、いつまでたっても両方が、自分の正当性を信じている。
そんな中で、今回のような殺人事件が起きると、基地反対派は「基地さえなければ」と考えるが、凶悪事件を引き起こす犯人は、別段アメリカの軍人だけではない。
このような事件の度に、再発防止策が実しやかに検討されるが、日本の国内だって、悲惨な事件は毎日のように発生する。
犯罪など皆無がよいに決まっているが、そんな理想論では何も解決できないのだから、むしろ沖縄でアメリカ人が問題を起こしても、日本国内同様の処罰を与えられない現状を変えて、犯人には国内同様の厳罰を処することを考えた方が良いのではないだろうか。
今回の事件で、被害者の父親が、初めて事件現場を訪れたことが報道されていた。
この父親は、「一緒に帰ろう、お父さんと一緒に帰ろう」と悲痛な声をあげていた。
悲しく、胸を打つシーンだが、僕はいつも違和感を持つ。
通常の日本人は、このような場面では心の中で話しかける。
決して人前で、自分の感情を言葉にすることはない。
この父親が大声を上げるのは、他人が聞いていることを前提にしているのだ。
テレビ局が報道していて、声がマイクに入るようにセットされている場面で、「私は悲しい」と叫ばれると、韓国の泣きオンナ同様、半ば以上演技をしているのではと疑ってしまうのだ。
僕は、人が本当に悲しい時に、テレビカメラの前で悲しみを表現する必要はないのではないだろうかと思ってしまう。
