昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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今となったらチャンチャラおかしい話

今回の大相撲一月場所は、西7枚目の幕尻力士、徳勝龍が14勝1敗で優勝した。

優勝インタビューも好感度抜群で、横綱大関が揃いも揃ってだらしない体たらくの中で、平幕力士の頑張りもあり、大相撲人気も盛り上がっていた。

 

そんな大相撲会ではもう忘れ去られた話題だが、テレにワイドショーでは一時期、大相撲の貴乃花劇場が姦しかった。

しかし今や、相撲協会の改革者と期待されていた貴乃花は、たまにテレビCMで見る程度で、大相撲とは無縁の存在になっている。

そもそもは、日馬富士貴ノ岩に暴力を振るった事件がことの発端だった。

その後も、相撲協会理事戦まで巻き込んだスッタモンダの大騒ぎを繰り返した結末は、

 ・横綱日馬富士引退

 ・一代年寄貴乃花は理事選で大惨敗

 ・その後、貴乃花は部屋を閉鎖して相撲界から引退

 ・貴乃花離婚

 ・被害者だった貴ノ岩は、自らも暴力事件を起こし引退

 ・元貴乃花部屋貴公俊が二度に亘る暴力事件で引退

 ・親方は暴力絶対反対だったはずなのに、貴乃花部屋は暴力塗れだった

と、全員がハッピーな相撲人生から程遠い状態になってしまった。

これで相撲人気も陰るかと思いきや、その後も場所中の満員御礼が続いている。

一体貴乃花劇場で、何が問題提起され、どう解決されたのか、全く訳が分からない。

 

マスコミによってこの騒動は、旧態依然とした守旧派の巣窟、相撲協会と、それに対して改革を訴える気鋭の改革派、貴乃花の対立と描かれていた。

また番付上位を独占する、モンゴル力士同士の「モンゴル会」は八百長の温床で、白鵬がその親玉との情報も流れた。

ガチンコ相撲だった貴乃花に対して、八百長塗れの「モンゴル会」も対立軸として報道され、貴乃花白鵬の険悪な間柄も注目された。

その過程で、全マスコミは改革派、貴乃花を熱烈に支持し、その貴乃花を排除しようと画策する相撲協会を、徹底的に糾弾する意見が大半だった。

相撲協会にとっては、八角理事長を始めとして、混乱の解決策を璃路線善と話すことができる親方が皆無だったことも災いした。

一方の貴乃花は、実は何を言っているのか分からなくても、求道者然とした寡黙な姿勢が、更に根拠のない期待感を集めることにつながっていた。

 

しかしいくらマスコミが応援しても、貴乃花は、肝心の仲間内の相撲取りや親方の間で、全く人望がない。

その表れが、貴乃花が挑んだ理事戦だった。

既に貴乃花グループからも見放され、理事選辞退を勧められていた貴乃花だが、それでも強行出馬した結果が、本人分も含めてわずか二票しか集められなかった。

それでも、フジテレビの安藤優子が「貴乃花親方はこれで終わる人ではない」と庇うほど、ワイドショーは、貴乃花を持ち上げ続けた。

 

テレビが貴乃花への幻想をまき散らすから、素人集はもっと勘違いをする。

SNSには、「貴乃花頑張れ」の声が溢れ、「貴乃花新相撲協会を設立」などの珍願望まで流れていた。

しかし新相撲協会を作ったとして、支持する親方が一人しかいないのに、肝心の力士はどう手配する積りだったのか。

せめて、貴乃花と行動を共にする親方が10人程度はいないと、力士の取組すら組めないではないか。

これらは、相撲協会が諸悪の根源で、貴乃花こそ改革者との思い込みから、ガキの正義感を振りかざしていただけだった。

理事選で惨敗した貴乃花は、挙句の果てに貴乃花部屋まで放り出して、相撲協会から引退してしまう醜態を見せた。

こうなると、貴乃花を期待した人たちは、どう言い訳するのだろう。

 

ハッキリ言って、貴乃花が改革の旗手だなんて、誰かが作った虚像でしかない。

貴乃花は不世出の横綱で、だからこそ一代年寄の栄誉に預かった。

貴乃花の価値観では、同じく一代年寄の北ノ湖理事長の後釜は、土俵で同じ実績を上げた自分以外にはあり得なかった。

それを同じ横綱とは言え、貴乃花から見れば遥か格下の八角親方が、理事長になることが許せなかったに過ぎない。

謂わば、組織内の権力闘争に負けてしまったオトコの負け惜しみだったのであり、高邁な相撲協会の改革方針ではなかったのだ。

実際に貴乃花が力説していたのは、財団法人として、力士は相撲協会に所属するとの取り決めに反対する、従来通りの相撲部屋制度の継続強化だった。

今となっては、貴乃花相撲協会に革命を起こそうとたなどと思っている人はいない。 

 

相撲協会が、問題含みの組織なのは異論を待たない。

力士は所属部屋に拘束され、親方の命令は絶対服従とか、暴力の境目が不明瞭な毎日の稽古や付け人制度など、大相撲が抱える伝統は、もはや現代社会では通用しない。

中でも一番の問題点は、あの不健康そのものの体つくりであり、力士は太るために無茶を重ねるので、一般の人に比べると平均寿命が遥かに短い。

それは、貴乃花が考えていた相撲協会とは真反対の姿だ。

そしてもしも本気で、そんな相撲協会とその体質を改革するのなら、相撲取り以外の理事を多数送り込まなければ、絶対に無理だ。

入門以降の全てで、「ごっつゃんです!」体質に染まった力士に、常識的な判断などできっこないからだ。

貴乃花の挫折は、相撲協会の内部からでは、全く改革など不可能だと証明したものだ。