昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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トヨタの張さん

トヨタ主催のセレモニーに出席したことがある。
二兆円近い利益をはじき出す日本一の会社だけに大盛況で、おおよそ千人近い出席者がいた。
当時の奥田会長、張副会長、渡辺社長以下トヨタ首脳陣が全員揃い踏みでホスト役をこなしていた。

一応のセレモニーが終わり立食パーティーとなると、出席者は一斉にトヨタ首脳陣に挨拶に赴く。
あっという間に長蛇の列が出来るが、とりわけ先のお三方は大人気でどの列よりも長い。
僕も、腹ごなしの時間稼ぎで張さんの列に並んだ。
理由は、張さんの顔に一番親しみが持てた程度の軽いものだった。

しかし、なかなか列が進まない。
単なる挨拶なんだから適当にすればいいのに、やたら張さんに話しかける連中が多い。
「おいおい、いい加減にしろヨ。どうせ張さんはあんたなんかに興味は無いんだヨ」
心の中で毒づく事三十分以上。
やっと張さん本人に近づく事が出来た。
そこで、張さんが挨拶に加え、全員と一言二言話をしている発見した。

やっと僕の番になった。
名刺を渡し、サッサと飯でも食おうと思っていたら、突然張さんが「あなたのお名前は二通りの読み方がありますが、あなたの場合はどちらですか?」と聞いてきた。
僕は心底驚いた。
張さんは日本中の有名人。
その日も数百人と名刺交換したはずだ。
一人一人に興味があるわけでもなく、貰った名刺も秘書が整理するだけだろう。
そんな場合も、張さんは全員のゲストに対して自ら共通の話題を探し、話しかけている。
一見でしかない連中に対しても丁寧さを忘れない。
客商売の極意を見た。

僕は、今度車を買うときはトヨタと決めた。