昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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何もォない町ですゥ~ 帯広

帯広に来た。
昼12時前に羽田を起ち、午後1時半頃に、とかち帯広空港に到着。
迎えの同僚が、「昼飯を食べましょう」と誘う。
実は機内で、軽くサンドウィッチを食べていたので腹は減っていなかったが、わざわざ車を駆ってきてくれた彼が「自分は、実は時間がなくて」なんて言うものだから、「それじゃあ、お付き合いします」となった。

空港から車でおよそ30分。
帯広駅前の「元祖・豚丼のばんちょう」前には、既に2時過ぎ、しかも雨が降っているにも拘らず、観光客が列をなしている。
せっかくここまで来たのだから、とにかく最後尾に並ぶ。
この間、同僚が豚丼の蘊蓄をひとくさり。
帯広は、豚丼が名物だが、老舗の「ばんちょう」が一番人気、メニューの松竹梅の差は豚の量だけ。
味噌汁は別注文。
20分程待って、やっと席に着く。
当方は、下から二番目の竹となめこ汁、合計1150円を注文。
たしかに美味いが、ほとんどはタレの味で、別に豚でなくても一緒なんじゃないかナァ。
韓国や台湾からの客もいた。

夜は、帯広の客と大いに盛り上がる。
とは言っても、帯広は港から1時間近くかかるので、新鮮な魚がたくさん!でもない。
特産の野菜も少ない。
どこにもあるようなメニューばかりなので、感激に浸る事もない。
飲んで、食べて、仕事は終わり。
9時にはホテルに帰って、バタンキュー(死語か!)。
同僚と客は、それから飲み屋を6件ハシゴしたらしい。

翌朝、ホテルの朝食後に、二階の温泉に。
帯広には、温泉付きのビジネスホテルが結構あるらしいが、このホテルの温泉は広いし、湯質が良い(と、効能書がぶら下がっていた)。
温泉を満喫して、午前10時にチェックアウト。

同僚が、田中義剛社長の「花畑牧場」へと案内してくれる。
車で約30分。
広大な敷地に、あの有名なキャラメル工場があり、更に豚丼レストランや、土産店、ミニチュアホースやロバの飼育場が並んでいる。
観光客も多い。
しかし、一時期人気爆発で入手困難だった商品も、今や北海道のどこでも買える程普及しているので、残念ながら有難味がない。
田中社長の多角化経営とマーケティングは、却って購入意欲を損なう結果になった気がする。
結局何一つ買わずに、バイバイ。

続いて、これも30年以上前に大ブームとなった幸福駅へ。
ところが、広尾線は既に廃線
今は古い駅舎と、ホームに当時走っていた車両が止まっているだけ。
駅舎の壁一面に、訪問客が名刺を貼り付けている。
駅前には、土産店が二件。
昼頃だったが、店の親父が盛んに切符を売りつける。
「今日の日付の、愛国から幸福駅行きの切符、キーホルダーにも出来るヨ。今のうちに買っとかないと、昼過ぎには団体客が押し掛けるから大変ヨ。切符だけは220円、キーホルダーは400円」
しかし、よくよく考えると、切符たってJRが発行した正規の物ではないはずだ。
土産物屋が、かってに当日の日付を入れている、単なる印刷物に過ぎない。
しかも220円を払っても、電車は動いていない。
更におかしいのは、愛国から幸福駅行きの切符なら、愛国駅で販売するはずだ。
大体、土産物屋が勝手に、切符を発行していいものだろうか。
「愛の国から幸福行き」とロマンチックな響きが大人気だったが、今や商魂丸出し。
拠って、ここでも何一つ買わないまま、昼飯はラーメン屋に。

途中で「ビーン邸」の看板を発見、暇に任せて訪問した。
ところが、これは単なる大豆の博物館で、しかもチャチでシャビイ。
豆の料理の仕方がいくつか紹介してあるだけなので、どう贔屓目に見たって「邸」ではない。
竜頭蛇尾ならぬ、蛇頭蛇尾の観光地訪問だった。

ナビを頼りに辿り着いた空港近くのラーメン屋は、薄汚い作りで、オバサン三人が調理している。
「これはハズレ!」と覚悟したが、流石に北海道だけあって、味噌ラーメンはソコソコ美味しかった。

これにて帯広観光は終了。
その昔よしだたくろうが「襟裳岬」で、「襟裳の春は、何もない春です」と歌って問題になった。
襟裳市側は「襟裳岬には、色々な名所があります」と反論していたが、帯広には、間違いなく何もない。
時間だけが、ゆったりと流れているような町だった。