最初に断っておくが、僕は、自民党一強体制に何一つ不満はない。
第一、今の自民党にとって代わる野党など、どこを探しても、その可能性の欠片すら見えないからだ。
彼らがやってきたことと言えば、国会をさぼりまくっての、モリカケ問題でのイチャモンであり、最近では「さくらを見る会」での揚げ足取りだ。
そのだらしなさがバレバレなので、野党第一党の立憲民主党ですら、支持率は10%を大きく割り込む。
今の野党はそんな政党が有象無象状態で、ひたすら政権の足を引っ張り続けるだけなので、まるで国民からの信頼もない。
しかしマスコミを中心に、「今の政治が、自民党の、なかんずく安倍政権の一強体制になっているのは大問題だ」との批判が強い。
ところが、マスコミこぞって反安倍、反自民党、野党支援キャンペーンを張っても何一つ効果がなく、国政選挙のたびに野党は惨めな敗北を重ねている。
従来ならマスコミの情報操作が、政治の動きにかなりの影響を与えてきた。
1993年選挙では、テレビ朝日の椿事件があり、自民党が大敗北し、自民党の下野と政権交代に大きな力を発揮したこともある。
しかしSNS時代になると、そんなマスコミの欺瞞性が、直ちに暴露される。
当時テレビ朝日の報道局長だった、椿貞良がやったような偏向報道は、今でも飽きることなく続いているが、その影響力は激減してしまった。
だから、マスコミが必死になって反自民党、反安倍政権の動きを盛り上げようとしても、「笛吹けど踊らず」状態のままなのだ。
そんな中で、自民党の石破茂と、国民民主党の前原誠司たちが、安保問題で超党派の勉強会を立ち上げたらしい。
他に、自民党の中谷元、日本維新の会の下地幹郎、公明党からも参加するようだ。
自民党には居場所がない石破と、もはや政党として先がない国民民主党所属の前原が中心人物だから、今の個人的な苦境を打破し、少しでも目立ちたいのだろう。
この連中が、いっそ新党まで結成すれば、それなりの話題にはなるかもしれない。
保守系野党は全部失敗してきたが、今でもそれなりの期待感があるからだ。
自民党の対抗軸つくりは、河野洋平の新自由クラブ、細川護熙の日本新党、小沢一郎がでっち上げ続けた様々な新党で、試み続けられて来た。
直近で保守系野党として話題になったのは、当時人気絶頂だった東京都知事、小池百合子が率いた「希望の党」だ。
この希望の党は、ドロ船民進党から脱出し乗り換えを画策する議員に対して、憲法と安保を踏み絵に「排除する」と当たり前の話をしただけで瓦解してしまった。
しかし潰れてしまうまでは、小池百合子への幻想をばらまいて来たマスコミからは、将に自民党への対抗勢力として、「希望に溢れた党」だった。
この希望の党が如何に噴飯モノだったかは、花粉症ゼロまで含んだ「12のゼロ」公約に集約されていて、その後唯一実現できたのが、公約にはなかった「支持率ゼロ」だったのが笑わせる。
希望の党が自滅して以降の野党は、実質的に共産党が主導した選挙の時の「野党統一候補」作戦だが、野党間で共産党との距離感がバラバラで、当然ながら自民党を脅かすこともない。
結局のところ、野党は自分たちの存在意義をアピールできず、「共産党と山本太郎のれいわ新選組」派と、「立憲民主党と国民民主党連合」派、「N国党その他」派が乱立したままで、野党間の勢力争いを繰り返すだけだ。
石破茂は、安倍政権に対して、背後から鉄砲を撃つオトコの評価が定着している。
その為に自民党議員からの支持はショボいが、マスコミの応援のお陰で、不思議と自民党員の支持はあるらしい。
石破は、安倍政権批判だけがアイデンティティの自民党議員だけに、今後共安倍首相の足を引っ張り続けざるを得ないが、それでは自民党内で支持が集まるはずがなく、当たり前だが、次期総理大臣の座を手に入れるなどできる目処もない。
そんな焦りが超党派勉強会となり、野党が一致して石破を担げば総理大臣も夢ではないと、「捕らぬ狸の皮算用」でもしているのだろう。
ただ、自民党内で20名もいない石破派議員の何人が、親分石破に続くのかは不明だ。
想像するに5名もいないだろうし、一度自民党を飛び出して大失敗した石破茂に、そこまでの度胸があるとは思えない。
仮に、万が一にも、石破を中心とした保守系野党ができたとしても、所詮野合集団の付け焼刃グループなので、実力として自民党に対抗できるはずがない。
僕は、今の自民党一強体制こそ、政治の安定だと思っている。
しかしマスコミは、政権が短期で変わっていた時代は「政治が安定しない」と批判し、やっと出来た長期政権には「驕りが見える」と揚げ足を取る。
安倍の清話会と岸田の宏池会は、同じ自民党でも基本理念は全く違っている。
自民党としては同志だが、政策遂行ではライバル関係だ。
日本の自民党は、世界的にも例がない、実に融通無碍、奥行きの深い政党だ。