昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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利尿剤と下剤

仕事で現役時代は、「無事是名馬」の典型で、健康そのものだった。

そのお陰で、生命保険は全くの無駄な投資だった。

また、バリバリの癌家系なので、癌保険は制限いっぱいまでかけてきたが、こちらも幸いにしてお世話になることは無かった。

しかし、これは安心への投資と思って、むしろ前向きに考えてきた。

 

そんな僕が、齢70直前で入院手術をする羽目に陥った。

選りによって、人間にとって一番大事な臓器、心臓に疾患が見つかったからだ。

本人は全く深刻ではなかったが、近所の町医者が血相を変えて紹介状を書き、慌てて総合病院の診察を受けさせられた。

その検査結果で、500で強制入院のBNP値が486もあることが判明した。

正常値は20以下らしいから、かなり酷いレベルだ。

 

その時は、処方箋を間違えるほどのヤブ医者だったので信用できず、「こんな医者に手術を任せられない」と、投薬治療を選択した。

その治療法が、利尿剤と血液をサラサラにする薬のコンビネーションだった。

ヤブ医者が言ったことは二つで

  ・血圧を下げるために、二種類の利尿剤を投与する

  ・もはやBNP正常値への復帰は無理なので、とりあえず200以下を目指す

だったが、そこからわずか10日間の投薬で、BNP値が目標の200を下回った。

 

その後も、時間の経過と共に症状も良化し、今では50以下で安定している。

当初のヤブ医者が転勤し、後を引き継いだ医者は、「正直に言えば何故ここまで安定しているのかは分からないが、利尿剤の効果が予想以上だったのでは」と説明している。

担当医が、理由が分からないのだから、患者が分かるはずはない。

何であれ、担当医が変わったことでカテーテル手術も、その一年後の経過観察入院も終了し、今では約三か月に一度の通院チェックで事が済むレベルにまで回復した。

とにかく、症状が落ち着いているのは、悪いことではない。

 

しかし、大量の薬を飲むと、便通は悪くなるようだ。

二度目の入院時に看護婦に訴えたら、それ以降は下剤まで加わることになった。

利尿剤と下剤。

排泄は栄養摂取同様に重要な行為だが、前も後ろもクスリの世話になるとは情けないし、ご先祖様に申し訳ない。

その利尿剤だが、旅行の時には夕方に飲むようにしている。

特に海外の場合、日本のようにそこかしこにトイレがあるわけではないからだ。

フランスで、列車の待ち時間に急に尿意を催し、慌てて駅のトイレに駆け込むと、そこは有料だったのだが、財布を持っていない。

そこで女性係員に、「Emergency!」と訴え、何とか用を足せた。

すぐに取って返して、トイレ使用料を払いに行くと、係員が大いに驚いていた。

家では、緊張感がゼロなので、少なくとも二時間に一度はトイレに行く。

面倒臭くてたまらないが、それでもそのお陰で血圧は低く安定しているし、心臓への負担も減っていると聞くと、背に腹は代えられない。

 

という事で、毎日10種類のクスリを飲み続けている。

これだけ薬漬け生活を送っていても、人間は、そうは簡単には死なない。

死んだ後は家族に頼んで、最後まで利用していた薬も棺桶に入れて貰おうと思う。