「今日は何をしようか?」
我々夫婦が今回のタイ旅行で、毎朝交わした会話だ。
実質的に最終日となる四日目は、窓から見える高級ショッピングモール「ICON SIAM」へ。
ここには世界的に超有名なブティックがずらりと並んでいるが、その中に日本の高島屋もある。
伊勢丹亡き後、孤軍奮闘の日本デパートを応援しなければ日本男児(と大和撫子)の名が廃る。
そんな使命感を持って出向いてみた。
・・・・・・などと言えば勇ましくもカッコいいが、
実態は午前中訪問予定だったミニテーマパークのアジアンテックが午後4時開演と分かったために、急遽目的地を変更したものに過ぎない。
フェリー料金30バーツで、所要時間は5分もかからない。
到着すると、長蛇の列ができている。
モールが10時オープンなのだろうと最後尾に並んだが、予定の時間になっても全く動かない。
通りかかったオネエサンに聞くと「K-POPスターの公演ヨ」と教えられガックリ。
心の中で「K-POP?冗談じゃないぞ、過ぎ去った時間を返せ」と悪態をつきながらモールに入ると、そこはタイや日本の屋台や、タイの土産物店などが屯していて、雰囲気だけでも楽しくなる。
ここでもタイ料理の食材を買い込み、最後は「SHINANOJI(信濃路)」という店で118バーツのかけうどんで昼食。
帰路はBTSを乗り継いで戻ったが、料金は33バーツとちょっと高い。
滞在二日目にホテルのすぐ横で見つけたラーメン屋は、工事の現場監督がこの日の午前11時が新装オープン予定と言っていた。
縁もゆかりもないのだが何となく気になり様子を見に行くと、どうやらオープンに漕ぎつけたようだ。
一等最初に立ち寄った時「今は開店準備中」と説明したオヤシが「Welcome back!」と声をかけてきた。
どうやらこの店のマスターで、二日前の雨上がりに腹を減らして訪ねてきた客を覚えていたようだ。
「開店おめでとうさん、夜にでも食べにくるよ」とオベンチャラを言ったら、とても喜んでいた。
これも何かの縁だろうから次回来た時には大繁盛していることを願っているが、チラ見したラーメンは美味そうじゃなかったナァ。
そんなこんなで少し遅れて部屋に行くと、妻がエレベータの前で待っている。
何でもドアが開かず、掃除のおばちゃんにバッテリー切れと言われたらしい。
フロントから派遣された担当者がドアキーをチェックした結果も「バッテリー切れ」で、今度はその修理に技術者が来ると言う。
ところがいつまでもその担当者がこない。
ドアが開いたままの状態で放置されたことになるのでさすがに頭にきて、受付に大文句を垂れた。
・そもそもホテルにとって客の安全確保は何にも勝る優先事項のはずだ。
・それを客が室内にいるのに一時間以上もドアを開けっぱなしにしている
・こんな顧客対応はシャングリラホテルの所業とは思えない
とかなり強く電話をしたら、マネージャーがすっ飛んで謝罪に来た。
その時はまだ怒り収まっていなかったので、「このホテルにはすっかり失望した」と更に文句を言ったら、暫くして掃除のおばちゃんが支配人の謝罪文とフルーツ盛り合わせを持ってきた。
パートのおばちゃんに謝らせるやり方は気に入らないが、次に泊まらなければ済む話なので、貰ったフルーツを有難く頂くことにした。
最後の晩餐。
実は連日連夜タイ料理三昧積りだったのだが、二日目に妻が体調を壊したものだから以降はヌードルが主流となっていた。
しかし最後の晩餐はやはりタイ料理、しかも超名店でと思い、ネットで情報を集める。
すると昼に遊びに行ったICON SIAM内に、タイでも評判の店「バアン・カニラ」の支店を発見。
レビューによると、「トムヤムクンスープは病みつきになるほどの絶品」と絶賛の嵐だ。
ならば行くしかない。
昼に切符売りのオヤジに騙され30バーツもボラれたフェリー料金も、専用ラインでわずか10バーツ。
但し予約が必要らしく、且つドレスコードも用心した方がよいらしい。
そこで妻が調べた電話番号で予約すると、どうも店の本部だったようで話がつながらない。
すると電話口のオヤジが。「俺が予約してやる、出来たらホテルの部屋に電話するから番号を教えろ」みたいなことをタイ訛りの早口でまくし立てる。
「そんじゃ」とダメ元で頼んだら、すぐにコールバックがあった。
そんな苦労の結果のタイレストランだが、実際に行ってみるとその店の構えからして違う。
受付には常時お姉さんがいて、いちいち予約名簿を確認した上で店内に案内する。
アウトドアを頼むと、チャオプラヤ川を望む場所に案内してくれたが、六人掛けのテーブルを二人で利用するのだからリッチな気分を満喫できる。
注文したトムヤムクンスープは、今まで見たことがないほどどデカいエビがドンと鎮座している。
グリーンカレーは辛すぎず、もちろん甘すぎず、微妙に味付けられていて実に美味い。
個人的には、トムヤムクンスープは初日のサラ・ティップの方が好みだが、カレーは断然バアン・カニラに軍配を上げたい。
ホテルに帰還して風呂に入れば、今回のタイ旅行もおしまい。
妻が体調を壊したのは計算外だったが、それでも早めに用心したおかげで翌日には戦線復帰できた。
タイ料理食べ尽くしとはいかなかったが、結構楽しく過ごすことができた。